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81話 赤い目

「…ん…う〜ん…」

「お、目が覚めたようだな」


 目を開けるとそこは暗い森の中でなく、空も地面も何もない白い空間の中にいた。

 さっきの声は?辺りを見渡すが声の主は見当たらない。


「手荒な真似をしてすまんかった。ここに連れてくるには気絶させた方が手っ取り早かったのでな」

「ワシを探しているみたいだが、ここにはいない。今、司教殿と協力してお主の精神をリキ殿の中に侵入させている」

「その声、ガンジくん?中って?ここはどこなの?」

「ここは精神世界と肉体の狭間だ。簡単に言えば夢の中と言っていい」


「記録にあった取引の内容を思い出して欲しい。女と取引をしたと書いてあったが、取引を持ち掛けてくる女などワシたちは会ったことないだろう?」

「うん、僕も気になってた。何か特別な条件が必要なんだと思っていたけど」

「その条件というのがここ、『夢の中である』という事だそうだ」

「夢の中…」


「おかしいと思わなかったか?霊魔法しか効かず、倒してもすぐにまた出現し、減るどころか増えていく…。これではまるで実体が無いようではないか」

「それもそのはず、魂喰いは夢の中で現れる存在、『夢魔』の一種だったのだ」


 夢魔。物語でいうところのサキュバスとかが有名な夢の中に現れる存在。本当にいるとは思わなかった。


「詳しい話はリキ殿を救った後にしよう。…奴が来たぞ」


『いらっしゃい』


「!!」


『魂をちょうだい?』



 現れたのはコウモリのような羽根に、赤い目と鋭い2本のキバを生やした妖艶な女の人。その面影は魂喰いの女の人と化け物になった姿を足した見た目をしていた。


「アイツだ。アイツがリキ殿の魂を持っている魂喰いの本体だ」


 アイツが…。

「魂喰いさん、リキくんと司教さんの魂を返して」


『なら生け贄を持ってきて。子供の魂は格別だからぁ〜…大人20人分と交換してあげる。おじ様のは別にいらないけど…あなたの魂の一部と交換ならいいわよ〜』


「一応言っておくが、取引には乗るなよ?取引に応じた瞬間、お主も夢魔に魅入られるぞ」

「分かった。でもどうやって取り返せばいいの?」

「なぁーに、一番手っ取り早い方法があるではないか!」

「…もしかして、()()()()()()?」

「ああ、もちろん!それは…」


「「力づくで取り返す!!」」



「奴はこの空間に限ってのみ実体を持つ。お主の魔法も通るはずだ」


『疾風』


『キャア!!』


 本当だ!吹き飛ばせた。壁がないからダメージにはならないが距離を空けるのには十分だ。


『そう…そっちがその気なら私もそのつもりで行かせてもらうわ』


 腕の形状がカマに変化する。羽根が生えているので空中で身を(ひるがえ)し、こちらに襲いかかってくる。でもこっちだって空中戦なら負けちゃいない。


『追い風+魔剣術』


 2本のカマを剣で弾いたり、避けながら反撃の隙を伺う。力は強く、速度も速い。だけどカマという性質上、大振りになるのが弱点だ。隙を無くすために巧みに攻撃の合間に攻撃を重ねているけど、


「そこだ!」


 剣に(まと)っている風の出力を一瞬だけ上げる。前の戦いで使った諸刃(もろは)の技だが、攻撃の瞬間にだけ切り替えて負担を減らせる事に気付いた。それでも腕に来る遠心力は相当なものだったが、その力は魂喰いの体勢を大きく崩し、隙が生まれる。その隙を見逃さず追撃を叩き込む。


『魔剣術ver.暴風コンバート』


『くっ…!子供のくせになんて力なの?それなら…』

『これならどう?』


 魂喰いの赤い瞳が妖しく光る。直感的にその目を見てはいけないと感じたが、認識した時点で見てしまっているので既に遅い。


「うっ…!!」


 何が来る…!何が………??あれ?

「何とも…ない?」


『そ、そんな馬鹿な…!?ふんっ!』


 再び瞳が妖しく光る。身構えるも、さっきと同じく何ともない。


「無駄だぞ、魂喰い。この空間はワシと司教が霊魔法で結界を作り出している。お前が魂に干渉してくる事は決して出来ん!!」


『何ですって…!?』


 動揺して顔を覆う魂喰い。こっちの注意が逸れた、今が攻撃のチャンスだ!


『魔剣術』


 魂喰いの胴体に鋭い一撃が直撃する。深く入った傷からは赤い血ではなく、黒いモヤが黒煙のように上に拡がっていた。


『…………ふふっ』

『うふふふふふふ!!』


 笑っている…?なんか不気味だ…。そう思っていると、


「ぐっ…!!くっ…!な、なんだコイツ!?結界を、この空間を支配して来ておる!!?」


『ええ〜そうよ〜。結界を張っているって言うならその結界を壊しちゃえばいいだけじゃない』

『てっきりこの子には私の眼力が効かないのかと焦っちゃった〜。…教えてくれてありがとう♡』


「これだけの力を持っていたのか…!!これでは結界を維持できない!!」

「ロク!!ワシも何とかそちらに行く!!だからそれまで………」


 白かった空間が夜のように暗闇に包まれる。その闇が魂喰いの姿をどんどん見えなくしていき、やがて赤い2つの星がこちらを照らす。

 いや、違う。赤い星に見えるあの光は…


「赤い目の…化け物……!」


『さあ、第二回戦…始めましょうか?』

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