6話 クラス対抗代表戦
僕らは、自習という名の休み時間を過ごしていると、コーラ先生が話してきた。
「実は、今日の実習で今の皆の実力を確かめたかったのには理由があるんだ」
「どうしてなんですか?」
生徒の一人が聞くと、
「まだ後になるんだけどな、春後期(6月)にクラス対抗で代表戦があるんだ。代表戦は5人で、決める基準は中間テストの実技試験の評価順で決めることが多いんだが、先生は試験より実戦でどれだけ動ける対応力があるかが重要だと思っているからな。それで皆がどんなタイプなのか見てみたかったんだよ」
「え?じゃあもう誰が出るか決まってるんですか?」
その発言から皆の雰囲気が変わった気がした。もし本当に決まってたとしたら、自分は入っているのだろうかと考えるだろう。僕も気になる。その言葉に先生は笑って答える。
「いやいや、春後期にはまだ期間があるから、まだ決めてないよ。正直、今回の実習で活躍できなくても後から急激に伸びてくる子もいるからな。本当に。だから、皆代表選ばれるように頑張れよ」
皆の反応が緊張状態からまたいつもの和やかな雰囲気に戻る。僕も少し期待したけど、まだチャンスがあると考えれば今後のモチベーションが上がってくる。
「……ここだけの話、先生的に一番有力候補は誰ですか?」
ここまで先生がいい感じに答えてたのに、核心を突く女の子。確か噂好きで有名だった気がするな。
こういったゴシップに興味が惹かれるのも分かるが、先生が気まずくなりそうだから気になっても誰も聞かなかったのに、この子の胆力は相当なものだなと思う。
「ん〜、そうだな〜……」
「やっぱり、先生に一撃入れたロクくんですか?」
急に名前を呼ばれてギョッとする。皆がこっち見てくるので咄嗟に下を向いてやり過ごす。
「ロクは面白かったな!発想力があった!でも意外と先生はクウナだと思うな」
「へ?私!?」
名前を呼ばれると思ってなかったのであろう。素っ頓狂な声をあげてキョロキョロし出すクウナさん。
「この時期で先生を霊魔法で動きを止めれたのはスジがいい。本来、霊属性は扱うのが難しいと言われているが、使いこなせれば最強だって論争があるくらいにはポテンシャルがあるんだ。このペースで成長していけば学年でも上位レベルになれると思うよ」
皆から関心の目で見られるクウナさん。……あっ、また耳赤くなってる。皆に見られるのは恥ずかしいよな。僕はそっと目を逸らしてあげた。
「そういえば、先生の身体能力どうなってるんですか?あの実習の動き、とても同じ人間には思えませんでした」
「そうだよ!先生!!」
「どんな魔法使ったの?」
皆が次々に疑問を投げかける。でも確かに先生の動きは人間じゃなかった。僕としてもとても気になる。
「あ〜、あれか?特に使ってないけどな」
「「「え?」」」
生徒一同、同じ言葉を発する。
「あれくらいなら魔法使わなくてもできるぞ」
「「「・・・」」」
僕たちはとんでもない先生と戦ってたかもしれない。