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58話 私の…

「ああああ!!」

 痛い。

「ぐっ……ううう!!」

 苦しい。

 誰か、呼んでる?

「ヒサメ、さん、し、しっかり、して…!」

 あの子、さっきの強い子?なんでまだいるの?

「…キミ……に、逃げ…ぐっうう!!」

「ヒ、ヒサメ、さん…!」

 だめ、近づいて来ないで、コレは私じゃどうにもならない。触れたらみんな凍りつく、地獄の氷。私の両親が命と引き換えにしてやっと止められたのに…。

 …良かった、あのひとも…逃げていった。これでいい……これでまた…ひとりぼっち……。



『うあああ!!!』

『ヒサメ!!』

『なんだこの魔力…ただの氷魔法じゃない!』

 お父さん、お母さん痛いよ!助けて!!

『まさか…!初代様の力か!?なんてことだ、なぜよりにもよってこんな小さな子供に!!ヒサメ!!』

『そんな……!?それじゃコレは……?』

『ああ、ヒサメが…死ぬまで止まらない』

 私……死んじゃうの?

『……あなた、ここは私が』

『いや、一人では無理だ。……くっ!』

『……あなた、私は大丈夫です。覚悟はとうにできています。我が子を守る為なら命は惜しくありません』

『…すまないユキメ、やるぞ…!』

『ヒサメ……ごめんね(な)』



 そこからの記憶はよく覚えていない。気が付いたらお母様とお父様は死んだと聞かされ、私は里長候補の筆頭となり、崇め敬われるようになった。同年代の子は皆私を避けて、兄妹である2人にも罪悪感から顔を合わせる事ができなかった。

 どうしてこんな身体に生まれたのだろう?里の人達は私の氷は初代様の生まれ変わりと言っていたけど、そんなもの、どうでもよかった。

 私はただ、皆と同じ生活がしたかった。家族で一緒に過ごしたかった。…私そのものとして見てくれる友達が欲しかった。

 でももう無理。私の命が尽きるまで止まらない……え?なんで、ドアが開いて…!?

 研究室で溢れかえっていた氷塊が解放された通路に勢いよく降り注ぐ。それを潜り抜けてこっちに向かってくる者がいた。

 この地獄の寒さに負けず抗おうとする弱々しくも力強い新芽のような浅緑色の髪と目をした男の子。ついさっき逃げたはずの子がどうして?

 荒れ狂う猛吹雪に顔が強張り、進みも遅くなっていく。身体は震え出し、髪の毛や手先は一部凍り始めている。

『ヒサメ……ごめんね(な)』

 やめて…早く離れて……!また…あの時みたいに私が……!

「ヒサメ、さん!これ!これ、つけ…」

 そう言って震える手から取り出したのは指輪だった。

『これ…つけて…』

 何?こんなの言われたこと、ない。

 ……本当に?

『…っ?誰?離れて……!』

 この記憶は?

 ……私が暴走したのは二度目じゃ……ない?

「うっ!うおお!!」

 紫に変色した手で指輪を掴み私の指にはめ込んだ。

 指輪を付けた途端、暴れ回っていた魔力が引いていく。苦しさも痛みも和らいでいった。

『…ねえ、同じ学園だよね?名前は?』

『……うん、**、じゃあね』

 昼下がりの王都の中、一言、二言だけ交わしたあの事件。君にとってはただの人助けのつもりだったと思うあの事件。私はあの時初めて出会ったんだ。

「ロ…ク…。ロク…!」

 そうだった…なんで忘れてたんだろう…。ロクは私の…

「えっ!?ヒサメさん記憶戻ったの…って!?」

「ありがとう……!ロク。私の大事な」

「お友達…!」

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