47話 お頭
「セッキ族が滅んだ理由…それは女不足だ」
「………」
「………」
「えっと……つまり、どういうこと?セッキ族ってヒョウゲツの人たちと争って滅んじゃったって聞いたけど、それは嘘だったってこと?」
「違う。セッキ族は元々女が生まれにくい種族らしくてな、今まで他の部族に乗り込んでは女を攫っていって繁栄していたらしい。だが、奴らの頭領はあろうことかヒョウゲツの里長の娘に一目惚れし、拉致したのだ。そのことが原因で里長は激怒し、協力者を集いてセッキ族を壊滅させたのだ」
「そ、そんな話だったのですか……」
「そうだ、当時の里長が俺の曾祖父、ひいじいさんで娘が俺の祖母だ。確か、60年ほど前の話だから知らないのも無理はない」
「…それは、確かにヒサメさんは危ないかもしれないね。早く合流しないと」
「ああ、そうしたいところだが、どうやらそうはさせてくれないようだ」
ウンスイくんが僕に手を向けるといきなり氷弾を放つ。
「えっ!?何を…!」
氷魔法は僕の間を抜けていき、後方に飛んでいくと、
「アイタッ!!?」
珍妙な悲鳴が聞こえてきた。振り向くと赤色の鬼の面の男がずれた面をもぞもぞ直しながらこっちに近づいてくる。
「チッ、コイツら、やたら頑丈だな。普通の奴なら気絶する威力なんだがな」
この男も体格ががっしりしている。本当に鬼みたいな人たちだ。
「ヒヒヒッ、ガキの攻撃で倒れる訳ねぇーだろ!そんなことあった日にゃ恥ずか死ぬわ!」
男は肩で僕らに体当たりしようと突進してきた。そのまま突き飛ばしてやる!
『逆風』
「効かねぇな!!」
「な!?うっ!!」
逆風にモノともせず僕と御者さんに体当たりする男。逆風に押し勝ったのか!?なんて力だ…。
「くそっ!凍ってしまえ!」
ウンスイくんの氷魔法が鬼面の男を凍らせ…なかった。
「何だと!?」
「寒い環境で育った俺たちに氷なんか屁でもないぜ!」
「そんなバカな理屈で魔法が効かないだと?ぐはっ!?」
「ウンスイくん!!」
男に鳩尾を殴られ、気絶してしまうウンスイくん。早く助けに…、
「お前ら!そっち行ったぜ!!」
男が合図すると背後から複数の気配が突然現れた。そんな、さっきまで魔力感知にも引っ掛からなかったのに!?見ると、雪の中から4人の鬼面が現れた。青、黄、緑、ピンクのどこか戦隊を感じさせる男たちが僕らを待ち構える。
「いらっしゃ〜い…!袋のネズミちゃんズよぉ!」
このままだと、やられる。こいつら、底が知れない…!ど、どうしたら…、
「……はあっ!!」
僕と一緒に吹き飛ばされた御者さんが僕を投げ飛ばし、4人のいた落下地点からさらに奥の方に進路を変えた。
「ロクくん、逃げてください!ヒョウゲツの里に行き、助けを呼んでください!お願いしま…」
御者さんはあっという間に4人に囲まれ、声が消えた。
「御者さん!!そんな…!」
「おい!そんな奴はどうでも良い!ガキを捕まえろ!今度は殺さずに連れてこいって言われてるから……えっ〜と…頭と心臓を残せば大丈夫だな!よし!行け!!」
「いや、死ぬわ!」
…っは!ついツッコんでしまった。あまりにも脳筋過ぎる考えにツッコまずにはいられなかった。
「…!おい、レッド…!コイツ……」
青の鬼面が鬼のような形相で僕を見る。…まあ、顔見えないけど、何となくそんな雰囲気がした。他の鬼面たちも僕を睨みつけていた…。もしかして、白マントに気付いたのか?
「コイツ、俺たちに足りないツッコミの才能を秘めている!仲間にして俺たちの戦隊に加えよう!!」
「「さんせーい!!」」
「…えっ?」
「おい、お前、コイツら殺されなくなかったら俺たちの仲間になれ!」
「っえ?いや…」
「そこは頭回んのかい!?」
鬼面たちの歓声が響き、僕は強制的に戦隊の1人に加わった。
「お前のイメージカラーは…むむ…グリーンだな。だが悲しいかな、すでにグリーンの枠は埋まっている…。仕方がない!お前は新米だから、ホワイトだ!!」
「流石、レッド!頭が良いぜ!…ほらよ!お前の仮面だホワイト!」
「あ…どうも?」
なんだこの状況。さっきまで殺されかけてたなんて誰が思うだろうか?……けど今は大人しとく方が良さそうだ。まずは、情報を集めて反撃の機会を伺うんだ。
「目的も果たしたし、アジトに帰ろうぜ」
「そうだな、腹も減ったし、とっとと帰るか」
ぐったりとしたウンスイくんを黄色が脇に担ぎ、御者さんをピンクが肩に担いでこの場を移動することになった。
「あの、お頭ってどんな人なんですか?」
移動の最中、僕はリーダー的存在のレッドから情報を探ろうと色々質問してみた。どうして、魔法が効かなかったか、なぜ気配無く後ろに待ち伏せ出来たのかとか…聞いてみたけど、『気合いでやればできる!』で返されるので諦めてお頭のことを聞いてみた。
「お頭?あの人はカリスマさ。路頭に迷っていた俺たちをまとめ上げて、新たに住処を与えてくれたのだ。おかげで少数ながら俺たちセッキ族は生き延びた。お前もアジトに帰ったら会わせてやるぜ!紹介してやるからよ!」
「へーそうなんですか?どんな見た目を?」
「ん?見た目?そうだな……。今のお前と同じ感じだな!」
「格好ですか?」
「いや?全部だよ。全部。背丈、体格、白面。お前がお頭だって言っても俺ぁ信じちまうね」
「「確かに!!」」
どっと笑いが起きたが、僕はその言葉にとても引っかかった。
「お頭って僕と同じ、子供なの?」
「そうだぜ?案外良い友達になれんじゃねーか?ホワイト〜?」
「な…なんだって〜!!?」
僕の驚きが雪山の中でこだまする。
ちょっと遅くなりました。書いてたデータが途中で消えました…。




