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26話 優勝決定戦5

「中堅、前へ!」

 ウンスイくんの相手は制服のボタンを外し、ポケットに手を突っ込んでいて、横を刈り上げて短い白髪。どう見ても不良と呼ばれそうな男子だ。ウンスイくんと並ぶと完全に正反対だ。

「よう…よくここまで勝ち残れたな?」

「……フンッ、まあな。俺だけの力じゃないさ」

「ハッ!だろうな!お前はただ運が良かっただけだ」

 知り合いかな?あんまり、仲良さそうには見えないけど。意外な交友関係に少し驚きだ。

「試合開始!」

「じゃあな!これが才能の差ってやつだ!!」

 不良くんが辺り一面を氷の世界に変える。こ、これって!ヒサメさんの技と似ている。ヒサメさんの他に氷の混合魔法が使える生徒がいるとは……同じクラスにこんな天才が(そろ)うなんてクラスの格差がひどいな。……でも、僕たちだって負けてない。

 ウンスイくんが風の魔法で冷気を弾き返す。僕がやろうとしていた対処法だ。まさかここで予行することができるとは思わなかった。ウンスイくんが冷気を押し留めることに成功すると、

「へぇ?『風』なんかで対抗してくんのかー、意外だったなぁ……でもお前らしいわ」

「お前もそう思うか?『()()()()で戦うやつがいるとは思わないよな?だからこそ、お前らは足元を(すく)われるんだよ」

「……相変わらず口だけは達者だな?昔からそういうところが嫌いだったんだよ……!」

 不良くんは大きな氷柱をウンスイくんに発射する。ウンスイくんは風で押し返そうとするが氷柱の威力が高く、押し返せない。そのまま氷柱がウンスイくんの元に突き刺さろうとしていた。だけど、寸前のところで水のバリアが展開され、直撃は(まぬが)れた。

「くっ…」

 ウンスイくんの左腕が凍っている!そんな!いつの間にやられたんだ!?

「甘ぇよ、直撃しなければ大丈夫だとでも思ってたんだろ?氷魔法は触れたもの全てに侵食する。お前のチンケな水玉に触れてた身体にもな」

 氷魔法、そんなに強いのか……。触れたらアウトなんていくらなんでも反則すぎる。

 不良くんが氷の世界を再展開する。ウンスイくんもまた風を起こして止めようとしたが、止まらない。

「はぁ……まだわかんねぇのか?さっきまでの魔法は抑えてたんだよ。……大体、風と水の混合魔法である氷が風に負けるわけねぇだろ?いい加減諦めろよ、落ちこぼれ」

「…………くそっ、ここまでか」



 ウンスイくんが諦めてしまった?……いや、僕が知っているウンスイくんはこんなところで諦めない……!

「本来は使う予定じゃなかったんだけどな」

 そういうと、不良くんの氷の世界を押し返し始めた。これは、風?水?どちらも違う。なんと、ウンスイくんも氷魔法で対抗し始めたのだ。

「はぁ!?何でお前が使える!?里にいた時は使えなかったくせに!!」

「フッ……いつの話だ?俺だって成長してるんだよ。お前と違ってな」

「ぶっ○す!!!」

「それは反則だぞ?」

「うるせぇ!!そういう意味じゃねぇ!!」

 真剣勝負の合間にコントを挟んでくるなんて……もしかして本当は仲良いのか?

「く、くそっ!こんなバカなことがあるか!?なんで俺の氷魔法が押されてるんだよ!?」

「それがお前と俺の差ってことなんだろう」

「!!俺がお前に才能で劣っているとでもいうのか!!?」

「違う!」

「覚悟の差だ」

「……は?」

「お前はここで命賭けられるか?」

「お前、何言って……」

「俺は賭けられる」

「仲間が託した想いに応えるために、俺は命を賭けられる」

「俺を(おとし)めるだけの覚悟を持っている奴に、死ぬ気の覚悟の俺が負ける訳ないだろう」

「お前、イカれてるよ……」

「フッ……俺は天才軍師だからな!」

 やがて、ウンスイくんの氷が不良くんの身体に侵食すると、全身をあっという間に凍らせてしまった。

「勝者、ウンスイ!」

 勝った……。勝ったぞ!試合場から戻ってきたウンスイくんにいろいろ聞きたいことはあったが、まずは、

「ウンスイくん!お疲れ、すごかったよ!でもどうして最初から氷魔法使わなかったの?」

「ああ、それに関してはすまなかったな、ロク」

 え?どうして謝るんだ?

「本当はこの戦いでお前に氷魔法と風魔法の戦いを見せたかったんだが、今の俺では風だけで勝つのはできなかった。後は…お前が見せてくれ」

「ウンスイくん……ありがとう、絶対勝ってみせるよ!」

 いつもいつもウンスイくんはかっこいいな。

「ああ、任せたぞ……けど、その前に」

「クウナさん、後は頼む」

「……うん、大丈夫、勝つよ」

 クウナさんがいつになく真剣な表情だ。ここまで本気なのは初めて見る。一体、次の試合はどうなるんだろうか?

「副将、前へ!」

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