22話 優勝決定戦1
「えー、代表戦上位3チームがただいま決定いたしました。この後の優勝決定戦は小休憩を行い、午後から開始となります。皆様、ここまでの観戦お疲れ様でした。開始までもう少しお待ちください」
休憩アナウンスが聞こえ、僕らもそれぞれ休憩を取ることにした。僕は、代表戦の疲れが残っていたので部屋に戻ってゆっくりして過ごした。
それにしても、まさか、ここまで勝ち進められるとは思わなかった。1回戦勝利くらいできたらいいなと思っていたけど3位は確定しているところまで行けるなんて。このまま優勝を狙いたいが、ヒサメさんに勝てる方法が全く思いつかない。氷を風で何とかする?吹き飛ばす?そんな簡単にいくだろうか?
休憩時間が終わり、試合場に戻ると、僕以外の上位3チームメンバーが既に集合していた。
「見事な重役出勤ぶりだな、ロク。それほど余裕ということか」
「ちょっ!?」
なんてことを言うんだ!この煽りメガネ!ウンスイくんがわざと皆に聞こえるように大声で話す。皆が僕の方を見て睨みつける者、蔑んだ目を送ってくる者、笑っている者とそれぞれ違った反応を示す。悪い意味で注目されて僕の心臓がキュッとなった。もう帰りたくなってきた……。
「さあ!皆様、お待たせいたしました!代表戦1年の部、優勝決定戦を開始いたします!」
試合開始のアナウンスに会場中がワッと湧き上がる。
「今年の1年は優秀な子が多く出揃い、いつもよりもレベルが高い試合が多かったですね!この試合でも沢山の名勝負が見れることを期待してしまいます!それでは、早速、第一試合、18組対11組の試合です!」
「先鋒、前へ!」
リキくんの試合が始まる。相手は右腕に包帯を巻いていて、左手で腕を押さえている。怪我をしているのか?どうして治してもらわなかったんだろう?その様子を見てリキくんが先に仕掛ける。だが、リキくんの足元が光ったと思ったら、爆発が起こった。
「フフ……フハハハハ!!引っかかったな!我が『漆黒の業火』に焼かれるがよい!!」
「何が、『漆黒の業火』だ、どう見ても白い光だったぞ?」
「な!?う、うるさい!貴様、運良く逃れられたようだな?だが、果たして全て避けられるかな?」
またしてもリキくんの足元が白く光る。リキくんは爆発が起こる前にかわしていくが、かわした先からも光が現れ、爆発する。
あれは火魔法だろうか?あんな使い方もできるのか。『漆黒の業火』は何とも言えないけど、あの爆発はかなり強そうだ。普通ならかなり苦戦しそうな相手だ。だけど、
「な、なぜ!?なぜ当たらない!?どんな反射神経をしているのだ!?」
相手はあのリキくんだ。リキくんは、実技だけでなく、驚異的な反射神経で相手の攻撃に反応することができる。僕の『疾風』も2回目で避けてしまうくらい、対応力が高い。
「大体、わかってきたぞ、今度はこっちからいくぜ!」
リキくんが爆発をかわしながら漆黒くんに迫る。リキくんは足元が光る前にもう避けている。それはもう反射神経なんてレベルじゃないよ!未来予知でもできるのか?
リキくんの剣が漆黒くんに当たる。そこからはいつもの必勝パターンに入った。漆黒くんは怒涛の剣撃になす術もなく敗北した。
「勝者、リキ!」
リキくんの並外れた動きに会場の皆が盛り上がる。
「な、なぜ我の魔法発動を予知できたのだ……?」
「う〜ん、わかんね!勘!」
その言葉にショックを受けたのか、それとも意識が朦朧としていたのかそのままパタリと気絶してしまった。リキくん、どんどんコーラ先生に近付いているような……。
「次鋒、前へ!」
すぐに次鋒戦が始まる。ベニエさんと相手の男子は前に出る。
「試合開始!」
試合開始と同時に相手は短剣を投擲してきた。ベニエさんは水のバリアで投擲を防ぐと同時に火魔法で炎弾の弾幕をつくり、反撃する。すると、相手は突然、煙を発生させ、姿をくらました。中の状況がが見えなくなり、会場がざわついていると、段々煙が晴れてきてそこにはベニエさんの喉元に短剣をあてている相手の姿が。
やられた。ベニエさんは攻守共に優れているが、死角からの攻撃が苦手だ。8組の試合の時もそれでやられてしまった。
「……降参」
「勝者、ケンゾウ!」
「……ごめん、またやられちゃった……」
戻ってきたベニエさんは少し泣いていた。2回も敗北して悔しいのだろう。同じ状況なら僕も申し訳なくてそうなると思う。
「大丈夫だよ、ベニちゃんは何も悪くない。ベニちゃんを泣かせる子は私が許さないから!」
クウナさんがベニエさんを励ましている。どうやら、友達を泣かされて怒りの炎が灯ったらしい。これはとても頼もしい。
「中堅、前へ!」
「降参だ!」
「え……しょ、勝者フォルトゥーナ!」
ウンスイくんが棄権した。会場も呆気にとられ静寂が訪れる。僕も頭が追いつかなかった。
「な、何してんの!?ウンスイくん、これで2敗だよ!?なんで戦う前から諦めてるのさ!?」
「いやなに、体力を温存しようと思ってな。それに、降参なんて1回しようが2回しようがこっちが3勝すれば何も問題ない。そうだろう?クウナさん」
「…!うん!そうだよ!任せて!」
……もしかして、ウンスイくんベニエさんのためにわざと……?流石、軍師。気配りの天才だ、すごいよ。
「副将、前へ!」
クウナさんが呼ばれ、前に出る。相手は大柄の男子だ。とても強そうだが、今のクウナさんは友のために闘志が燃え盛っている。この状態のクウナさんが負けるとは思えない。この試合、どうなるんだ?
「試合開始!」
クウナさんが霊魔法で動きを止める。相手の男子は身動きが取れず、苦しそうにもがく。クウナさんの殺人級パンチが飛んできて相手の男子に顔面に命中する。ああ!痛そう!
と思いきや、クウナさんの方が痛がっている。え?何でだ?よく見ると、殴られた男子の頬が石化していた。土魔法の応用か!とはいえ流石に無傷ともいかないようで相手もかなり痛がっている。
「いっ…たいな〜!もう怒った!本気でやっちゃうからね!」
ん?クウナさん?今、本気って?
クウナさんの拳がまた相手の頬に炸裂する。今度は石化した部分が砕け散り、とんでもなく鈍い音が響いた。うわ!大丈夫か!?死んでないよな?
これでクウナさんが岩を破壊できる証明ができた所で審判からのドクターストップがかかり、見事KO勝ちを果たした。会場も盛り上がるどころかあの鈍い音で心配する方の声が多かった。ちなみにコーラ先生だけ笑ってた。
「大将、前へ」
僕の番だ。またしても2対2で僕の試合で勝敗が決まる。でも今回は不思議と緊張しなかった。単純に慣れたのかもしれないけど、僕もベニエさんのために負けたくなかったのかもしれない。
相手は誰だ?試合場に上がってくる相手を確認する。え!?どういうこと!?相手は先ほどクウナさんにやられた大柄の男子だった。
今回コーラ先生が笑っていたのはクウナさんの成長が予想より素晴らしかったため、教師として感動し、笑っていました。
コーラ先生サイコパス説……あると思います。




