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19話 バカはどっちだ

「Aブロック、準決勝第1回戦、予想外の展開に私たちも驚きを隠せません!」

「現在、0対2、初戦で圧倒的な強さを見せた18組がいきなり追い込まれてしまいました!このまま8組に敗北してしまうのでしょうか!」

「中堅、前へ!」

 ウンスイくんが呼ばれた。ここで負けたら18組の敗北が決定してしまう。ウンスイくんの負担はとてつもないはずだ。

「ウンスイくん……」

「クウナさん、ロク、次の試合に備えておいてくれ。あと2人が勝てば何も問題ない」

「う、うん、頑張ってね!」

 こんな状況でも動じないのは流石だ。やっぱり頼りになるよ。

「試合開始!」

 ウンスイくんの戦闘スタイルは相手の攻撃を読んで仕掛けることが多い。まさに軍師のような戦い方だ。相手の方は、次鋒の子と同じく、火を操るタイプだ。ウンスイくんは水魔法が得意なので相性はこちらが有利だ。

 ウンスイくんが相手の顔に水球を作ると1回戦の時のように窒息させようとした。しかし、彼女は火で水を蒸発させ、次鋒戦のように炎弾を放ってきた。ウンスイくんは水魔法で受け流して高圧水砲で反撃する。一見、終わりがないような攻防が続くと思っていたら、急にウンスイくんが攻撃の手を止めた。

「どうしたの?まさか、後がなくて怖気付(おじけづ)いちゃった?あんたも可哀想ね、おバカな2人のせいでこんな大役背負わされちゃって」

「……」

「図星?ならさっさと終わらせてあげるわ、お・バ・カ・さん」

 彼女が今までより大きな火の(かたまり)を作ると、ウンスイくんは、

「……フッ」

 笑っていた。その瞬間、彼女の周りに大きな(うず)が発生し、そこにウンスイくんが水魔法を放つ。今までの攻防でできた蒸気に加えて、特大の火と水がぶつかり、雲のようになっていた。雲の中でパチパチと光が点滅している。

「バカはどっちだ」

 ウンスイくんがパチンと指を鳴らすと同時に天から地に向かって凄まじい光と轟音(ごうおん)が鳴り響き、彼女の悲鳴が聞こえた。

「ギャ!!」

 ウンスイくんが風を解除すると、そこには気を失った彼女の姿があった。

「勝負あり!勝者ウンスイ!」

「信じられません!ウンスイ選手、相手の魔法を利用して、混合魔法である雷魔法を発現させました!一年で高等技術の混合魔法を計算して発動させるのは天才です!ウンスイ選手は天才軍師です!」

 タモさんのイメージと僕のイメージが一致した。うちの天才軍師はやっぱり頼りになる。



「副将、前へ!」

「クウナさん、頑張って」

「うん!ベニちゃんの仇を取ってくるよ」

 リキくんもいるんだけど……。それは言わないことにした。

「試合開始!」

 クウナさんは早速、霊魔法で相手の動きを封じた。そして、クウナさんは自身にも霊魔法を使う。

 クウナさんの霊魔法は、相手の動きを封じるだけでなく、自分の身体能力を上げることもできる。霊魔法で強化されたクウナさんの拳は僕の『逆風』の威力を上回る。多分岩も破壊する。拳術(けんじゅつ)で習った正拳突きを相手はモロに受けた。当然、相手はあまりの痛さに悶絶(もんぜつ)し、2撃目を食らわそうと拳を振りかざすクウナさんを見て相手は、

「ヒィ!ごめんなさい!助けてぇ!!」

 と半泣きになり、降参。あの恐怖は実際に立ち会わないと分からない。最後の練習試合でクウナさんの拳を振りかざす姿を思い出す。もう2度と戦いたくない。

 それはさておき、ついに2対2の同点にまで持ち込んだ。後は大将の僕の勝敗で全てが決まる。

「負けられない……!」

 皆が繋いでくれた流れを僕が断ち切る訳にはいかない。熱い思いを胸に準決勝、大将戦が始まる。

余談ですが、最後の練習試合、ロクの勝敗3勝1敗の1敗は、実はクウナさんです。

クウナさんの実力はチーム18の中で一番勝率が高いです。

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