14話 ダブルデート?
ロク、人生初のデートが始まる。
何話せばいいんだ?近すぎたら変な気があると思われないよね?どうしよう、心を無にしようか?
僕が歩き瞑想を始めようとした時に、クウナさんの方から話しかけてきた。
「ロクくんはさ、代表戦選ばれてどうだった?」
「代表戦に?それは嬉しかったと思うけど……クウナさんは?」
「……私は、ちょっと嫌だったかな」
「え?」
意外な言葉に思わず聞き返してしまった。微妙そうではあったけど、まさか嫌だったなんて。
「どうして?」
「私、魔法を使うのは好きだけど魔法で戦うのは嫌なの。当てるの怖いし、当たるのも怖い。それなのに何故か私が選ばれちゃった」
「最初は断ろうと思った。でも、クラスの皆の中には出たかった人もいると思うの。私が出たくないなんて言ったらその人はきっと良く思わないから言い出せなかった」
「それにね?ベニちゃんが『私と一緒に代表戦に出れて嬉しい』って言ってて、余計やめたかったなんて言えなくなっちゃった」
「………」
こういう時は何て言えばいいんだ?さっきの話題作りよりハードなのが来た。僕に気の利いた言葉なんて考えられる訳がないよ。僕が何と答えようか考えていると、
「あ!ごめんね?困るよね?こんな話されても」
「え、いやいやそういう訳じゃなくて、えっと、何で僕に教えてくれたのかなって気になって」
我ながら上手く誤魔化せたと思う。それになぜ僕に話したのかは本当に気になった。
「何で?……確かに何でだろう?他の子たちには何だか話しづらかったけど、ロクくんには話してもいいかなって思ったの」
そう言って僕の方を見て笑うクウナさんを見て少しドキッとした。これどっち?僕には刺激強すぎる…。
その後は特に会話もせず、クウナさんの目的地に着いてしまった。
「ありがとう、相談に乗ってくれて。誰かに話せただけでもすごく楽になったよ。じゃあここで、またね」
「あ、うん」
結局、何も言えずに別れてしまった。もしウンスイくんならここで気の利いた言葉の1つか2つ言っていただろうが、僕には考えつかなかった。クウナさんが戦うのが苦手なことがわかったが、そんな人をやる気にさせる言葉なんて出てこない。次に会う時までに考えたほうが良さそうだな。
そう考えながら、フラフラと街を彷徨った。
フラフラと街を歩いていると、前に見覚えのある人が見えた。あれは、コーラ先生だ。休日で私服になった教師を見ると何だか新鮮だ。先生はTシャツに半ズボンのトレーニングのような格好をしている。普段から運動しているんだろう。
先生が隣の人と話している。一緒にいる人は誰なんだろう?人混みで見えなかった先生の隣人を確認すると……え!?メディス先生!?こちらもワンピースの私服姿で普段と印象が違うメディス先生がいた。
先生達は楽しそうに話しながらどこかに向かっているようだった。これはまさか……デートなのか!?そういう関係だったのか!?
僕は好奇心に負け、先生たちがどこに行くのか気になってしまい、こっそり跡を付けることにした。
先生たちが大きな屋敷の前で止まった。ここは確か……『レストレイント城』だ。どうして先生たちは城の前にいるんだ?そう考えていたら、
「ロク?さっきから何で俺達の跡を付けているんだ?」
コーラ先生がいつの間にか目の前にいた。
「うわ!?ごめんなさい!」
バレていたのか。こんなことなら、風の勇者の姿を消す魔法をできるようになっておけばよかった。
「ははは!!いや謝らなくていいって!どうせ俺とメディスが一緒にいるのが気になったんだろう?」
さすが担任、生徒の考えはお見通しだ。
「残念だが、お前が考えているようなことじゃないよ。俺達は同期に会いに来ただけだ」
「同期?」
「そう、同期。ここで待ち合わせしているんだ。俺とメディスも同期だから一緒に行動してただけだ」
なんだ、同期会の集まりか。確かにメディス先生、コーラ先生のことを君付けで読んでたな。謎が解けてスッキリした。
「そうだったんですね。勘違いしちゃいました。じゃあ僕失礼します」
「おう!良い休日を楽しんでくれ!」
「はい!」
そう言ってコーラ先生はメディス先生と待ち合わせの同期であろう数人の元に戻って行った。あの同期たち皆、王宮の中から出てきてたけど、すごい貴族の人なのかな?そんな人たちと同期な先生たちはすごいな。なんてことを考えながら、残りの休日を楽しんだ。




