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12話 代表戦決定

「はぁ……」

 中間テストの日のから3日後。僕はまだショックが抜けきれない。これでもだいぶマシになった方だ。テスト終了時は魂が抜けたように力が入らなかったんだから。せっかく頑張ってくれたウンスイくんにも申し訳がないよ。そんなことを考えながら教室まで着くと、

「おはよう、まだ落ち込んでるの?」

 クウナさんが声をかけてきた。

「あ……クウナさん、おはよう、ちょっとね」

「私もうまくいかなかったし、あまり気にしない方がいいよ」

「うん、そうする……はぁ……」

 落ち込んでる僕を心配して話しかけてくれるなんて……なんていい人なんだ。

「ロク、まだ落ち込んでるのか?」

「あ、ウンスイくん!、おはよう」

「ああ、おはようクウナさん。それで?ロク?ちゃんと魔剣術見せたのだろう?ならいいじゃないか」

「いや、やり直しだったし、意味なかったよ」

 ウンスイくんが僕に(なぐさ)めの言葉をかける。……あれ?今の言葉なんか引っかかるな?

「皆、おはよう!ついに結果が出たから早速皆に答案を返すぞ〜!」

 クラス中がワーワーキャーキャーと悲鳴のような歓声があがる。その言葉に血の気が引いたのは僕だけなのか。悪いと確定している結果ほど見たくないものなんてない。

 出席番号順に呼ばれていき、最後に僕の名前が呼ばれる。

 トボトボと先生の前まで答案を取りに行き、先生から手渡される。そして渡された瞬間、背中をバシバシ叩かれ、

「大丈夫!元気出せって!次頑張ればいいんだから」

「はは……はい、そうですよね?」

 もはや乾いた笑いしか出てこなかった。先生の言葉からも望みがないことは明らかだった。

 席に戻り、答案の点数を見ると89点とかなり高得点だった。よく見ると、最後の問題に一言コメントが添えられていた。


『問題30』

『コーラ先生の好きなところを答えなさい(複数回答あり)』


 爽さわやかな所。

 ありがとう!89点おめでとう!ロクは頑張り屋なの知ってるからこれからも頑張ってくれ!!


 先生は僕のことをこんな風に評価していたんだと思うと素直に嬉しい。

 そして問題の実習科目の点数表を見る。するとそこには、


 出席番号 54 名前 ロク


 魔法 威力  100  計 255/ 300 判定A 合格

    連射  60

    距離  95


 実技 剣術  39              判定D 不合格


 ……やっぱり不合格だったか。でも魔法科目が思ったより高得点で少し安心した。先生の言葉的にもうちょっと悪いと思ってた。これにも下の方に一言コメントが添えられていた。


 剣術はもうちょっとだったな!でも、あの実技は一番すごかったぞ!!


 ()()実技というと先生が言っていた魔剣術のことだろう。テストには評価されなかったけど、先生には評価されたみたいだ。…………『ちゃんと魔剣術見せたのだろう?』

 ふとこの言葉が頭によぎる。ウンスイくんが慰めてくれた言葉だ。待てよ?ウンスイくんには魔剣術こと話していないぞ?というか誰にも話してない。僕が聞いたのは先生が魔剣術と言ったからだ。じゃあなぜ、ウンスイくんは魔剣術のことを知っていた?もしかして……最初から知ってた?

「じゃあ、結果を返したばっかりで頭いっぱいかもしれないけど、春後期(6月)に行われる代表戦のメンバーを発表するぞ!」

 別のことで頭いっぱいになっていた時に先生が代表戦メンバーについて発表する。もう発表されるのか!?一度に色んなことがありすぎて頭パンクしそうだ。

 皆がワーキャー騒いでいたが、先生が話し始めると時が止まったかのように静まった。

「……えーまず!リキ!」

「まじ!?俺!?よっしゃーー!!」

 リキと呼ばれた男の子は先生と勝負した時に囮役となった子の一人だ。確かに、実技でも明らかに他の子よりレベルが高かった。

「次が、ベニエ!」

「え!?やったーー!」

 あの子はよくクウナさんと一緒にいる子だ。確か、火と水の適性があった子だよな?あんまり会話したことないからよく分からないや。

「ウンスイとクウナ!」

「嘘!?私?そんな……」

 クウナさんはなぜかそんなに喜んでないように見える。ウンスイくんはというと軽く右手をあげて、当然と言った様子で皆をなだめる。ほんとクールだな。

 ここまで呼ばれなかったことで期待3割:諦め7割くらいの気持ちだった。

「最後は〜〜…………」

 最後でもあってタメがすごい先生。これで入ってなかったらウンスイくんに申し訳ない。ウンスイくんの方を見ると僕と目が合い、フッと笑って前に向き直した。

「……ロク!」

「え!?」

 本当に!?聞き間違いじゃないよね?周りを見ると皆、僕を凝視(ぎょうし)していた。間違いない!僕だ!嬉しいけど皆の視線があって恥ずかしくて思い切り喜べない。

「呼ばれなかった皆も呼ばれた皆も同じチームだってことを忘れずに心を一つにして代表戦と応援頑張ってくれ。あと、呼ばれた5人は次の休憩時間に代表戦の話があるから集まってくれ!以上」

 クラスの興奮が冷めないまま、授業が再開された。



 休憩時間になり、代表戦メンバー5人がコーラ先生の元に集まった。リキくん、ベニエさん、ウンスイくん、クウナさん、こう見ると僕の数少ない友達が2人もいるのは珍しいかもしれない。

「集まったな?代表戦について説明しようと思ってな。休憩時間中にすまん。じゃあ、手短に説明するぞ」

「代表戦は、学年別の5対5の団体戦だ。それぞれ先鋒(せんぽう)次鋒(じほう)中堅(ちゅうけん)、副将、大将で分かれていて、今回の対戦形式は個人戦だ」

「先生、『今回は』ってどういうことですか?」

 ウンスイくんが僕らの疑問を代表して質問してくれた。

「いい質問だな。代表戦は、年2回行われる。春後期の代表戦は個人戦、秋後期(12月)は勝ち抜き戦になっているんだ。理由はクラスの総合力を測るのと個人の力量を測るのを均等に行うためにそうなったと言われている」

「成程……ありがとうございます」

 確かに、圧倒的な強さを持つ人が勝ち抜き戦に勝てばチーム総合力で負けていても勝ち進んでしまう。それだとその一人だけの功績になってしまい、チーム戦とは言えなくなってしまうだろう。でも、逆に個人の力がどれだけ強いても個人戦なら負けることもあり得る。そのへんの公平性を取るためにあえて違う形式で行うのだろう。理にかなっている。

「話を戻すぞ。俺がメンバー発表した順番で出ようと思っている。これは何か不満があるものがいるか?」

「なんで俺が1番何スか?」

 リキくんが純粋な疑問をぶつけている。正直、僕もなんで大将なのか疑問である。僕よりウンスイくんあたりが適役だろう。

「理由は、お前が緊張に強いからだな。先鋒で1勝を取りやすいのがこの中だとリキだと思ったんだ」

「お〜!先生わかってるじゃん!」

「まあ、先生の考えではこの順番が1番勝てると思っている。他に質問あるか?……無いようなら次説明するぞ」

 なぜこの順番なのか気になりはしたが、ここで質問するのは恥ずかしかったので後で質問しようと思った。

「団体戦に勝てば豪華景品がもらえる。一応お偉いさんも見にくるからな。学園行事でもあるが王都内のイベントでもあるんだ。前回の景品はお菓子1年分とか最新型魔道具とかだな……あと王国の騎士団のスカウトもあったりする。入るかどうかは自由だけどな。とにかく、勝てば景品があるから頑張ってみてくれ」

「でも一番は、楽しむことが重要だ。自分の実力を出し切って後悔しないようにな」

「「はい!」」

 こうして僕の代表戦が決定した。

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