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41 旅の朝ごはんは、お好み食材でチーザフォンデュ

「キムラン、起きなさい。もう朝よ」

「ふへ」


 眩しい日差しを背に、オレを起こしたのはミミではない。目を細めてよく見ると、ユーイさんだった。


「おはよう。もしかして寝ぼけてる? ミミとナルシェはもう起きてるわよ」

「ふわぁー。大丈夫。起きた。おはよう、ユーイさん」

「あっちに井戸があるから、顔洗って来なさいな。ミミが大張り切りで朝ごはん作ってくれてるわ」


 お言葉に甘えて井戸に向かう。

 やはりここもキャンプ場よろしく、いくつか共用調理場が設えられている。管理小屋のそばの椅子には管理人さんがいて、家庭菜園に水やりをしていた。

 ここでも桶に汲んだ水を柄杓のようなものでまくるんだな。

 おじいちゃんだから大変そうだ。


 桶をおろして井戸の水を汲み上げて、ひんやり冷たい水でぱっちり覚醒。

 他のスペースを借りている旅人は、まだ寝ている人もいるようだ。布団が丸く盛り上がっている。



 拠点に戻ると、もうみんなシャッキリ起きて火を囲んでいた。ナルシェからなんか渡される。


「キムランさん、おはようございます。はいこれ」

「なんぞ」


 定番のレクサス骨の串に、白くて細長いパン生地が巻きつけてある。後ろにある調理場で鍋に向かっているミミが、腰に手を当て言う。


「くるくるパン。じぶんでたべるぶん、やく」

「あ、はい」

「パンやいてるあいだに、こっちもできる」


 火にかけられている2つの鍋は何が入っているのか、蓋の隙間から蒸気がシュンシュン漏れ出ている。


 言われるままに、マシュマロを焼くがごとく、焚き火にパンの串をかざして回す。

 しっとりしていたのがしだいにふくふくとしてくるパン。表面がきつね色になるにつれていい香りがしてくる。


「ジョウズニヤケマシター☆」


 某狩猟ゲームの肉焼きのジングルを真似してパンをかかげると、パンに負けないくらい白い目が突き刺さる。


「キムランたべものであそぶな」

「ごめんなさい」


 ミミかあさんに謝って、静かにパンを食べることにした。コトリさんが自分のパン(5つ目)を焼きながら聞いてくる。


「今のはキムラン殿の出身地での儀式か何かか? どんな効果が」

「あ、いや。なんでもないですー」


 元ネタを知らん人ばかりだから真面目にツッコまれると悲しいわー。チャンネル視聴者の皆様の声が懐かしい。

 泣き真似してると、ミミがどんとみんなの前に鍋をひとつ置く。


「これ、パンにつけてたべる」


 蓋を開けるとトロトロに溶けたチーザが顔を出す。


「わー、フォンデュじゃない! さすがミミ! やっぱ外のご飯はこうでなきゃね」

「うむ」


 この世界にもあるのかチーズフォンデュ。

 ユーイさんが目を輝かせて、ちぎったパンをフォンデュにつけている。


「んー、おいっしー!」

「じゃあオレも」


 焼きたてパンをちぎってフォークに刺し、チーザにフォンデュ。すげーのびる! くるんと巻き取って口にダイブさせる。


「うめー! すげーうまい!」

「ふふ。焼きたてはいいですね~」


 ミミがもう一つの鍋を持ってきて開ける。

 重厚な厚手鍋だ。こちらにはレクサス肉と野菜が!

 ほんのり焦げ目がついていて、肉汁が溢れ垂れている。

 ナイフで削ぐといいロースト具合だ。野菜も肉も好きなやつをフォークに刺してフォンデュ。


「うまい、うまいぞ。日本でもこんな贅沢したことない」

「こっちのやさい、かんりにんさんがくれた」

「そうかありがたい事だ。あとで礼を言いにいかないといけないな」


 ミミが串に刺してくれたのは黄色くて丸っこい野菜だ。ピンポン玉くらいのミニサイズ。表面がツヤツヤしている。


「これ、マトマ。そのままでも、おいしい。チーザつけるともっとおいしい」

「オーケーグー○ル。マトマとは」

「○ーグルってだれだ」


 相変わらずミミの冷静なツッコミが冴え渡る。

 まずはフォンデュしないで食べてみよう。


「むぐむぐ。おお、これは、トマト!? とろみと酸味のある汁、たっぷりの水気」

「トマトちがう。マトマ」

「あ、はい。マトマですね。わかります」


 チーザにフォンデュしてもとても美味しゅうございました。

 ミミが朝ごはんを作ってくれたからと、片付けはナルシェが引き受けた。


「美味しいご飯ありがとなー、ミミ」

「わたし、ごはんつくるやくめちゃんとできたか」

「ええ。ありがとう、ミミ。美味しかったわ」

「とうぜん」


 みんなから美味しいの声をもらって、ミミは満足げだ。

 片付けを終えて、いざ出発。

 夏の暑い日差しの下、つばの大きな帽子をかぶって、歩き出す。(数が足りなくてオレだけほっかむり)


「あすにはノーシスつくか?」

「ノーシスは無理だが、明日の夕方には小さな宿場町に着く。野宿よりは休めるはずだ。食材も買い足せるだろう」

「暑いと日持ちしないから、そこで調達できると助かるわね」


 そんな話をしながら、5人の旅は続くのだった。


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