べ、弁天様…?
最重要緊急案件だった鳥居がやっと完成した。これで、弁天様が本家に吸収される事は回避できた。
後は、お社を新しくして 映えスポットを設置する。弁天様の埋蔵金のおかげで、予算もなんとかなりそうで一安心。
でもまだまだ、これからだ。
「たかにゃん、お腹すいた〜」
「まだ、3時過ぎたとこですよ。今食べたら夕飯食べれなくなりますよ。」
「えーー!お腹すいた!」
やれやれ。
…?
「そういえば、弁天様って普通にご飯食べますよね?神なのに?」
「たかにゃんのご飯美味しいもん。」
「ありがとうございます。じゃなくて、なんで食べられるんですか?」
「そんなの知らないけど。ロボットだってどら焼き食べるじゃんw」
あぁ、まあ。でも、マンガの話じゃん。
これも神の力か…?
「弁天様にやってもらいたいことがあるんですけど。」
「だる〜。」
こらっ!
「はいはい。なんでございましょうか?」
「縁結びのお守りを広めて欲しいんですよ。学校の友達とか、SNSとかで。口コミが1番早いと思うんですよね。」
「あーねー。無理。」
予想外の返事。
「ごめん。うちさーたかにゃんにしか見えないのよ。だから、友達いないし SNSも発信できない。」
え?え?う?え?
どうゆうこと?
「が、学校通ってるんですよね?毎日。」
「うん。」
ますます混乱。
「たかにゃん、握手しよ。それが1番わかりやすいかも。」
混乱しながらも手を出して、弁天様と握手する。
スカッ。
「え?あれ?」
「ね?うちに触れないでしょ?幽霊みたいでウケるw」
「え?なんで?透けてないのに?俺にしか見えない?なんで?」
「たまーにいるのよ。声だけ聞こえる人とか、姿だけ見える人とか。たかにゃんみたいに会話できる人はよよちゃんだけだったけど。」
よよちゃん?
「俺…俺にそんな力が…?いやいや、今までそんな事なかったですよ。いろんな神社仏閣行きましたけど。」
「やっぱ波長とかあるんじゃない?」
弁天様は平然と『ご飯おいしいね』って言うのと同じトーンで話してる。
俺はまだ、『なぜ?なに?』から抜け出せていないのに。