始動
俺は弁天様と歳を越した。
弁天様は時々いなくなっては、またやってくる。
見た目、ボロボロの祠(失礼)にしては、参拝者は結構いるようだ。
地元では愛されている神様なんだろうな〜
ギャルだけど。
「弁天様の所、参拝者 結構いますよね。」
「うん。昔からの顔馴染みね〜」
「初めて会った時、4年ぶりの参拝者って言ってましたよね?」
「うん。ご新規さんは4年ぶり〜」
あ、ご新規さんね〜
「弁天様、これからのビジネスについての弁天様の見解が聞きたいんですけど。」
「え?だる〜」
「(怒)大事なことですからぁ〜
お守りとか、売りたいんですよね。後、映えスポットとか作りたいな〜って。」
「ウチも映えスポット欲しい!!!」
ギャルだなぁ〜
「弁財天様は、恋愛成就なんかも御利益ありますよね?」
「あーー。まあ一応…。そんなに得意ではないのですが…」
いつになく、自信なさげ。
「結局、背中を押すくらいしかできないの。両思いにさせるチカラはないのですよ。」
「そうですよね。人の心を変えることなんてできませんよね。逆にそれやったら悪魔っすよ。」
「あね!あっぶな〜神でよかった〜」
「じゃあ、そっち方向でいこうと思います。何か希望はありますか?」
「たかにゃんに任せるよ。あーあんまり、木は切ってほしくないな〜特にたかにゃんが、首くくろうとした木ね。思い出あるから。」
「え!そんな大切な木に…すみませんでした。」
「ホントだよ〜折れなくてよかった〜」
そんなに大事にしてたんだ。
申し訳ない気持ちでいっぱになっていると
「たかにゃん、落ち込まないで!知らなかったんだし。何事もなかったから、いいじゃん。木も。たかにゃんも。ね」
ぽわっと、気持ちが暖かくなった。
弁天様といると、時々こうなる。
これが神の力か。
俺は感心しながら、弁天様の信者になっていってるな。と、少しおかしくもあった。