俺の覚悟
昨日、この部屋に戻ることはないと思って綺麗に整えて部屋を出た。
まさか、戻ってこんなに賑やかな部屋にしてしまうとは…。
とりあえず、シャワーを浴びて身支度を整える。
腹が減っては戦はできぬ。
昨日買ってきた菓子パンを胃に流し込む。
よし!
いざ!弁天様の元へ。
昨日は足の向くままやって来た町なので、駅にはたどり着いたが、弁天様まで辿り着けるか不安だった。が、何とかお昼には祠に辿り着いた。
「弁天様〜」
返事はない。
あれ?
学校か?
どうやって呼び出せばいいんだろう。
お参りはしようと思い、お賽銭を入れて手を合わせる。
「何だ。たかにゃんじゃん。今、お昼だから呼び出さないでよ〜夕方、学校終わってから来てね。じゃ、よろ〜」
そして、消えてしまった。
俺は手を合わせたまま、突っ立っていた。
俺は駅まで戻り、お昼を食べることにした。この辺はのどかで、駅前に少し店があるだけだ。
夕方までここで時間を潰すしかないな。
ちょっと、傷ついた。意気込んできたんだぜ。弁天様。
ネガティブに支配されながら、夕方まで待つことにした。
17時を少し過ぎてしまった。高校って何時に終わるんだっけ?
そう思いながら、再び弁天様の元へ。
「べんてー」
「遅いよぉ〜。来ないかと思った。お疲れ〜たかにゃん。」
食い気味で現れた、弁天様。
「用事が長引いちゃって。お待たせしました。」
もう、ワガママだなぁ。夕方来いって言ったくせに。
「聞こえてるんだけど。」
「心、読まないでくださいよ。弁天様に合わせたんですから。」
「はーい。ありがとう。早退したくなかったから。ごめんね。」
急にしおらしい。
ダメだ。余計な事を考えるとまた、心を読まれてしまう。
「鳥居は、建て替えた方がいいと思います。基礎も痛んでるようなので、このままでは年を越すのは難しいですね。」
「はぁ〜。だよね。しょうがないか。」
落ち込む弁天様。
「そこで、弁天様の覚悟が知りたいんです。」
「へ?覚悟?」
「俺は覚悟を決めて来ました。」