雲隠れ
弁天様が飛び出してから、5日が経った。
毎日、弁天様の祠に行って、お守りや、おみくじの補充、掃除などをしてくる。
いつもなら、呼ばなくても、俺がいればひょっこり現れる。たとえ機嫌が悪くても、とりあえず出てきてくれていた。
何度か呼びかもしてみたけれど、応答なし。
夕飯も食べに来なくなった。
一応、用意していたおはぎはもう賞味期限を過ぎている。
最初は下手に出ていた俺だったが、そろそろ堪忍袋が一杯だ。
『そっちがその気なら、好きなだけ拗ねてればいい』
俺も祠の仕事はするが、弁天様に呼びかける事は無くなった。
このままどうなるんだろう?
不安も無いわけでは無かったが、今は怒りの感情がwinである。
話も出来ないのであればなすすべなし。
「だいたい、神様のくせに ワガママなんだよ!」
ドスッ!
これまでのストレスをパン生地にぶつけている。
「こっちが、下手に出ていれば!」
ドスッ!
「神が拗ねるとか、わけわからん!」
ドスッ!
「もう、弁天様には俺は必要ないのかな…」
……
どこに行っても俺は上手く立ち回れないんだな。誰の役にも立たないし。
もう、他の居場所を探さないと…かな。
『たかにゃん!』
頭の中で声がした。
弁天様?
これは初めての現象。弁天様の声が頭の中にするなんて。気のせいか?
なんて頭の隅で思っていた時には、すでにアパートを出て祠に走り出していた。




