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弁天様とよよちゃん

「よよちゃんちはね、私の世話役の一族なの。私をここへ連れてきた人の子孫だね」


弁天様は、ばあちゃんとの事を話してくれた。


「よよちゃんは、凄く『視る』力が強くて私に触れることも出来たんだよ。よく手を繋いで森を遊び歩いたな〜

幼馴染の様な、姉妹の様なそんな関係だったな〜

よよちゃん一族は代々、『視る』力が強い人が後を取っていたから、ずっと一緒に居られると思ってた。」


弁天様は淋しく俯いた。


「でもね。

よよちゃんには10歳違いのお兄さんがいてね。私の事は何にも感じてくれない人だったけど、跡取りになったの。そのすぐ後によよちゃんがお嫁に行くことが決まって」


そう言って弁天様はポケットから何かを取り出した。


「これ、お嫁に行く前によよちゃんにもらったの。

『私がいなくても、天ちゃんが幸せに暮らせます様に』って。

昔、たかにゃんにも見せてもらったよね。その時、よよちゃんも同じもの持ってたんだってわかったの」


おれもポケットから取り出した。

ビー玉位の水晶玉だ。

ばあちゃんは本当に弁天様の事、想ってたんだね。


「それから何年かして、よよちゃんのお兄さん一家は引っ越してしまった。だから、私も本家に帰る覚悟を決めた」


だから、母は怒ったのか。売家に出された祖母の生家を見て。


『罰当たり』


「そしたらさぁ、よよちゃんからもらった大事な木で首括ろうとするバカがいるからさぁ〜」


「!!!!

あの木って、ばあちゃんが植えたんですか?」


「そうだよ。よよちゃんが、『私がいなくても淋しくない様に』って。私はあの木がよよちゃんだと思って話しかけたり、心の支えだったのにさ。

最初、めちゃ頭に来て 自殺なら他でやれ!私の大事な木を傷つけるな!!って。

そしたらなんと、たかにゃんだったってw

マジ、焦った〜」


「…たか…にゃん?」


泣いていた。涙が溢れていた。

これは何の涙?

後悔、羞恥、懺悔、哀愁、感謝…


俺は守られていた。


この祠に来たあの日、俺は適当な電車に乗り、適当に乗り換え、適当に降りた。適当に歩き、適当に角を曲がり、弁天様のところに来た。

と、思っていた。

ばあちゃんが連れてきてくれたんだ。


そう思うとまた涙が止まらなかった。

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