ガーデンからの退室方法
『そうと決まれば、善は急げです。『栄光ノ星』へ協力を仰ぎましょう』
……たしかに早いほうが良いか。
「分かったけど、どうやって帰るの? ガーデンネットワークのメニューで?」
『いえ、先ほど見ていた限りでは、そう言った項目はありませんでした。これは勘なのですが、このエントランスの中央部、主人がここへやって来た場所に何かあると思いませんか?』
──AIの勘&AIに尋ねられるって新鮮!
「確かに。出入り口が別って、まあまあ面倒くさいよね。一応、確認に行こうか」
俺たちは来た道を辿り、中央の広場へとやって来た。
「うーん、遺跡の方とは違って青銅像が無いから、目印らしいものは見当たらないけど……」
『ちょうど中央にある色違いのレンガで描かれた丸い模様、あやしくはありませんか?』
足元を見ると確かに円形に模様がある、ただの丸だ。
「これぇ? いや、ただの模様でしょ?」
『とにかく、何か試してみて下さい。私はここで観ていますね』
ちょっと離れたところでチュートリアルさんは観ているという。
何でだよ! 絶対、変な行動取ってるのを楽しむ為だろ!?
「一応、試すだけ試すけど、絶対に笑うなよ?」
『フリですね、分かりました』
「フリじゃねーよ!」
とりあえず、ガーデンネットワークをひらいた時みたいに
手を前に突き出してみる。
シーン……
「くっ! まだだっ!」
突き出した手を横に払う。
これで、ステータスメニューが表示される動作にかわる。
「ステータスメニュー内に項目が無いか確認だ!」
ホログラムプレートに書かれたメニューを改めて見直す。
これは違う。
──これも違う。
────こっちも違う。
──────これは! 無いぞ!
「あるパターンちゃうんかーい!」
『ブフォッ! ──ケホケホっ!』
盛大に噴き出してるじゃねーか……チュートリアルさんよ。
さあどうする? 手詰まりだぞ?
『そう言えば、ガーデンネットワークのメニュー内に『操作説明』という項目が見えた気がします』
「それ、早く言ってよ~」
急いで確認に戻ると確かにあった。
【マイガーデンからの退室方法】
エントランス中央部にあるサークル内で『退室する』と念じます。
マイガーデンへと入室した最終ポイントへ戻れます。
くっそ、AIの勘が完全にはずれてた訳でもないし
ツッコミづらい!
「説明書は最初に熟読すべき、今回俺は学んだ。以前も何かで学んだけど」
『はい、では参りましょう』
再びサークルの場所に戻ってきた。
『今回は退室方法が確立されています、私は予め主人に精神を接続しておきますね』
ああ、そうか。
繋がってないと、出られないんだもんな。
「分かった」
チュートリアルさんは頷いたあと、一瞬だけ両眼が光り
その後、動きを止める。
「あのまま立ってるのって、なんか切ないな……」
──椅子やベッド等のオブジェクトがあれば違和感が
少なくなるとは思います。
おっと、もう接続されてんのね。
「念のため、チュートリアルさんが『退室する』って念じてみてくれる? 出来たらラッキー、出来なければこのままで退室するし」
──分かりました。『退室する』
シーン……。
「やっぱりか」
──今、笑いそうになりましたよね?
「なってない、なってない! ふふっ『退室する』!」
瞬間、俺の姿は光の粒子になって消える。




