プレイヤーネーム
俺はメーヴェに背負われたままガルムから離れていく。
「この辺りまで来れば追いつかれないかしら? それじゃあ、はい『ヒールポーション』」
───メーヴェからヒールポーションが送られてきました。
受け取りますか?
もちろん……というか、そのまま使ってくれても良かったのにな。
───インベントリを開いて
ヒールポーションを使用してください。
インベントリは手を前に出して、指をピンチアウトします。
ピンチアウトって言うと、親指と人差し指の二本の指で
ひろげる動作か……うおっ!
ホログラムみたいな感じで、アイテム一覧が表示される。
現在の装備とかも表示されるのね。えーっとヒールポーションっと。
ヒールポーションに意識を向けると手のひらに
透き通った青い液体が入った、三角フラスコ状の瓶が握られる。
コレを使えば良いんだな? ヒールポーション使用っと。
念じた瞬間、手に握られていたポーションは消え、キラキラとした
光のエフェクトが自分のまわりに出現する。
即時なんだ……つまり「使う」と心の中で思ったならッ!
その時スデに行動は終わっているんだッ! って事だな!
「無事に回復できたみたいね? 街まであとちょっとだから、もう少しこのままガマンしてね?」
少し恥ずかしいが仕方ない、そういうイベントなのだろう。
「それにしても、どうしてあんな大物に襲われてたのかしら? ……えーっと、名前を聞いても良いかしら? 私はスタークの『クラン』……えーと、チームみたいなものね? に、所属している軽歩兵のメーヴェよろしくね」
───プレイヤーネームを入力してください。
お、いよいよか。まあ、迷うことなんて無いんだが
『カシュー』っと、やっぱり慣れ親しんだ名前だ、しっくりくる。
「そう、カシューって言うのね。それで話は戻るけど、キミは何であんなのに追われてたのかしら?」