ガーデンネットワーク
今はまだキレイな庭園を眺めながら歩く。
「とんでもない犠牲の上に創られて、母体のガーデンにも無断で寄生して、更には不具合だらけなんだけど……こんなにキレイなんだから、消えて欲しくないよなぁ」
チュートリアルさんは、相変わらずダンマリ……か。
狭いガーデンだからあっという間に、端末と思しき石碑に辿り着く。
「えっと、これ?」
『はい、その石碑に手をかざすと、管理メニューが出現します』
ほっ、とりあえず必要なことは喋ってくれそうだ。
手をかざすのね、よいしょ!
俺がさっと、手をかざすとホログラムのプレートが浮かび
いくつかのメニューが現れる。
「丁度ステータス見るのと同じ感じだな、メニューの内容は……」
そんな感じで操作を開始しようとすると、メッセージが
カットインしてくる。
うわっ! 何だよびっくりするな~
──ガーデンネットワークへようこそ!
どこからともなくチュートリアルさんの声が聞こえ
俺は思わず振り返る。
『私ではありません……が、私の時はこのような反応はありませんでした』
自分の声にチュートリアルさんも微妙な表情を見せるも
自分の時とは違うリアクションだと教えてくれる。
ガーデン関連のシステム音声は、全部チュートリアルさんの声なのかな?
──このガーデンには『名称』が設定されていません。
名称を設定して下さい。
名前をつけるの? 消滅するよっていう、この状況で?
えー、名前つけるの苦手なんだよな~
プレイヤーネームすら、画面とにらめっこして数十分とかザラだし
ま、カシューって言う定型を編み出してからは、プレイヤーネームだけは
サッと決められるようになったけど……
カシューガーデン? だっさ! 我ながらヤバいな!
どうしよう、マジで思い浮かばないんだけど。
そっと、チュートリアルさんに視線を送ると、目が合ったので
とりあえず、意見を聞いてみる。
「何か……案とかあります?」
心なしか、チュートリアルさんの目が輝いた気がした。
誤字の指摘ありがとうございます。
何度も読み返してるのに、何故か気づけないので
非常に助かります。