口が滑る滑る
ガーデンエナジーが尽きるまでには解決策を
見付けなくちゃならないのか……
「んー、権限の書換えって出来ないのかな?」
『一応、ガーデン管理のための端末が、このエントランスの北端にありますが、私では操作出来ませんでした』
「じゃあ一応、俺がトライしてみるか! 出来たら儲けものってね」
俺がエントランスの北側へ歩き始めると、チュートリアルさんは
黙ってついてくる。
──やっぱり、見れば見るほど巨大花時計だな。
ガーデンエナジーの供給が止められたって言ってたから
今咲いている花々が枯れたら、ジ・エンドって感じかぁ……
「って言うか、誰が植えたんだろ、この花?」
『さぁ? 私では無いのは確かです』
「『さぁ』とか言うんですね、システム解説の時は、すべて知っている様なしゃべり方だったから、意外かも」
『私のデータベースには冒険に関する知識が様々詰め込まれている様です、ここから出られないのに』
うわ、なんか悲惨だな。
というか、探索者は『宿命の子』なのに、冒険での身の振り方が
分からないなんて、どうなんだろうか……?
本能でガーデンコアを求めるんじゃなかったのか?
「じゃあ、俺とチュート……貴女が、ずっと精神接続をしていれば、ガーデン探索に役に立つ知識が得られそうだな」
何気なく言った言葉に、チュートリアルさんがしばらく固まる。
「──? どうしました?」
『い、いえ。何でも有りません。ガーデンエナジーが無くなれば、あなたはともかく、私やガルム、そしてこのガーデンは消滅しますけどね』
「ん? ガーデン消えても、俺消えないの?」
『おそらく。ガーデンが吸収されて、宿命の子が消えたというデータはありません。侵略された場合は、命を奪われる事もありますが、労働捕虜として使役されるケースも少なくありません』
「労働……この世界に来てまでしたくはないな」
組織の歯車となって動くのは、苦手じゃないが
ストレスがマッハなんだよな。
『自然消滅なら、捕虜になる心配も少ないですし、自由の身になるだけかもしれませんよ?』
「いやいや、俺を処刑しようとするガルムはともかく、チュートリアルさ……貴女が消えるのは、さすがに思うところがありますよ」
『ほ、ほとんど言いましたね。もうチュートリアルさんで良いです!』
そう言うと、チュートリアルさんはそっぽを向いて黙り込んでしまう。
やべえ、怒らせちゃったかな? わざとじゃないんだけどな……。




