チュートリアルさん
わずかなローディングの後、俺の視界は開ける。
「ここは……? さっきまでの場所?」
そう、先程までいた『遺跡の地下』の風景に酷似していた。
ただ、決定的に違うのは色味があること。
舗装された小径は輝くばかりに白い石のレンガだし
寄り添う水路には透き通った水が流れており
区画分けされた花壇には、ブロック毎に色とりどりの花や木々が
配置されている。
なんだろう、この既視感……いや、遺跡の地下じゃなくて
「あ、花時計だ! ……だとすれば、スッゴい大きい花時計だけど」
その他には、疑似的な空が先程よりも柔らかい日差し……とでも
言うのだろうか? 語彙力が微妙なので表せないが
小鳥が遊ぶ、春先の空と言った感じ?(三十路手前のおっさん談)
──ちょっと自分でもキツいと思った。
「そう言えば、スターク達は!?」
辺りを見回すが、彼らの姿は見えない。
「やっぱり、別の場所なのか?」
突然、チュートリアルさんの声がする。
──おかえりなさい、カシュー。
「うわっ! 何!?」
今までのチュートリアル的な直接響く声とは違い
明らかに出所がある馴染みの声に、少し腰が引けつつも
声の発生源、俺の青銅像があった場所へ目を向ける。
そこにはホログラムで投影された女性が立っていた。
「え? チュートリアルさん……?」
『ええ、あなたを導いてきた者、と言う意味ではチュートリアルさんで間違いありません』
あれ、ちょっと気に入ってないっぽい?
『この際、呼び方はどうでも良いのです』
絶対気に入ってないじゃんコレ。




