青銅像との接触
とは言え、ここまでの道程での仕事ぶりは
ちゃんとしてんだよな、GS……
ノリが軽いがポンコツではない
変わった立ち位置なヤツらだよな。
目を閉じて大きく深呼吸をすることで
だいぶ落ち着きを取り戻した俺は
そんな事を考えていた。
──実績を解除しました。
『駆け出し瞑想家』
目を閉じ、深呼吸をする。
特典:座りモーション時、AP、SPの回復効率がわずかに上がる。
実績のタイミングが、いつも悪いな
狙ってやってるだろコレ? 瞑想家も意味分からんし。
ってか、座るとAPとかSP回復できたのか
今ここで初耳とか、それで良いのかチュートリアル。
「そう言えば、ここって地下なのに明るいな?」
「それは……ほら、アレだよ」
スタークが上を指差す。
「天井……? じゃなくて、そう言えば空がある! 自然すぎてスルーしてた! いやでも、ファンタジーとはいえ、これは良いんか?」
「それがねー、本物じゃないっぽいんだよね」
「あちらを見てください」
ネレイドに促され、俺は視線をネレイドの差す方へ向ける。
──空にナイフが刺さってる。
なんでも試しちゃうんだな……この人達。
「じゃあ、ひょっとして、青銅像にも色々してたり?」
「さすがに傷付けるようなことはしてないからね?」
メーヴェの釈明を受け、何かをした事は確定……と。
「で、何か発見はあったんですか?」
三人が揃って首を横に振る。
──息ピッタリだな。
「台座に文字らしき物はあったんだけど、解読出来なかった」
スタークがお手上げという風に両手を上げる仕草をする。
「で、俺なら読める……ないし、何かが起こるのではないか──と」
俺は青銅像に歩み寄り、台座についたプレートを眺める。
『XXXX-XXX-XXXX ノービス ♂ カシュー』
──はい、間違いなく俺~、最初の11桁の数字はゲームIDだし
キャラの種族、性別、名前と
言い逃れが出来ない要素が満載です。
はあ、と溜息をついた拍子に視線が下がり
プレート下部に謎の穴? を見付ける。
─INSERT CARDKEY─
七庭にログインする直前に見たやつ~。
俺はスタークに振り返り、穴を指さしながら尋ねる。
「カードキーって入れてみた感じですか?」
「ああ、一応やってはみたが、特に何も起きなかったよ。やってみるかい?」
そう言ってスタークは俺にカードキーをよこす。
──カードキーを手に入れました。
いったんインベントリに入るんかい、ちょいめんどいな
とは言え、ワンアクションだけど。
指をピンチアウトしてインベントリを開き、カードキーを選択。
手の中に現れたカードキーを、挿入口に──差し込む。
──その瞬間、妙な浮遊感が俺を襲う。
「カシュー!」
「カシュー君!」
「カシューさん!」
俺の身体は光の粒子になって消える。




