同時購入特典
「はい、こんな感じでいかがでしょう?」
朋美がヘッドセットを調整しながら聞いてくる。
「うーん、左右の当たりが強い気がするな」
「そう? じゃあ……このくらい?」
「うん、いい感じだ」
確かに最初に被った時とは比べ物にならないフィット感
合わないままプレイするなんて、考えられないな。
「まあ、調整は自分でも出来るから、気になるところが出たら、調整すれば良いよ」
ちなみに俺が選んだマイヘッドセットは
エントリーギアPremium Lightだ。
散々文句言ってごめん、お前はなかなかやるヤツだ
さすがはPremium、それでいてLight……最&高!
さすが幼馴染み、脳内を覗いたような
何言ってんだコイツ顔してるわぁ。
「んん! ……同時購入特典だけど、七庭の物で大丈夫よね? ゲーム内アイテムが出るわ。えーと、容姿変更チケットとネーム変更チケット……それからランダムギフトボックスってアイテムみたい」
なるほどね、まあ良くある
とりあえず始めても取り返しがつくセットと……ガチャかな?
「特典でガチャは悪質だな。ハズレだったら、まあ落ち込むぞ?」
「ははは、まあ元からなかった物と思えば、何が出てもお得じゃない? ──それからマイヘッドセットの調律は自分でする? 一応、このお店の購入者特典として無料で調律できるけど?」
「調律って難しい?」
「そうでも無いよ? だいたいのゲームのチュートリアル内で、こっそりデータを取ってて、チュートリアル後にズレ補正出来るようになってるの、その調整もある程度AIがやってくれるし。このサービスのメリットって、フルダイブ喫茶行く前に無料でチュートリアルをプレイ出来るって所だし」
うん? チュートリアル出来るってことは?
「この店にフルダイブ筐体あんの? じゃあ朋美、やりたい放題だな」
「バカな事言わないの。ほら、フルダイブって色々あったじゃない? だから見届け人が必須なの。うちのお店じゃ、誰も見てくれないもの。フルダイブ喫茶のお店の人って見届け人も兼ねているからね」
はえー、そうだったのか、勉強不足だったな。
「で、どうする?」
せっかくだし、やっとくか!
ってな感じで即答する。
「じゃ、お願いしまーす」