あっし
「あれ? どうしたんだよ『あっし』じゃん」
男は俺の声に反応して、勢いよくこちらを向く。
「あ! 修一さん! 朋美を……朋美を知りませんか!?」
「何? 朋美がいないの? 何時間か前にフルダイブ喫茶で会ったけど?」
「フルダイブ……喫茶? ああ、最近この辺りに出来たという『ゲームカフェ』ですか?」
「そう、それ」
あっしはゲームカフェ呼びなのか、確かに
あんまりゲームに興味無さそうだったよな。
「それは、どれくらい前ですか?」
「んー3時間くらい前、かな。あっしが仕事で遅いってボヤいてたぞ? たまには早く帰って、奥さんにサービスしてやんないと、愛想尽かされるぞ?」
「それは……そうなんですが」
いやに歯切れが悪いな?
「──まあ、独り身の俺に言われたか無いわな」
「いやっ! そういう意味じゃ!」
あっしが慌てて否定する。
「分かってるって。からかってるだけだよ、本気でそれだったらまぁ傷つくが」
「やめて下さいよ……それで、朋美の行方の心当たりはありませんか?」
とは言ってもな……俺の方が長くゲームに潜ってたせいで
行き先とか全く分からんのだが。
「分からん。もしかしたらフルダイブ喫茶のママに聞いたら分かるかも? でももう遅いしな、ちょっと近くのコンビニとか公園とか探してみるか。田舎とはいえ、女子の一人歩きは危ないからな」
「修一さんも手伝ってくれるんですか!? ありがとうございます!」
くっそ眠いのをガマンして人助け、仏かな? 俺。
とりあえず、ふらふらしながら近所の公園に立ち寄ってみると。
「1発ビンゴって、こういうのガチャ運でも発揮して欲しいもんだ……おい~朋美、こんな夜中に一人歩きとか危ねーぞ?」
朋美は一瞬驚いたように肩をふるわせるが、振り向かない。
仕方なく、もっと近くまで寄り話しかける。
「なあ、あっしも探してたし、帰ろうぜ?」
「あっしが……?」
声を詰まらせながら、朋美が聞いてくる。
これ、泣いてんのか? こういうの苦手なんだよな……
どう接したら良いか分からん。




