言い訳
何とか戦闘エリア外に避難出来た俺達だったが……
くそっ! チュートリアルさんの
護衛も兼ねてたのに守れなかった!
こんな所でお別れになるなんて
あんまりじゃないか。
「チュートリアルさん……」
──はい。
「あんな無茶して消えるなんて……」
──主人?
うん……? うんん?
「え!? 何、中身は無事なの??」
「中身?」
ギガが訝しげに聞いてくる。
ああ、チュートリアルさんの声は
聞こえなくなっちまったのか。
「ああ、見ての通り残念泥人形は爆散したわけだけど、本体? というか人格は俺の中に帰還してるっぽいんだよね。俺はてっきり復活しないかと思ってた所に、急に話しかけられたからビックリして」
「ああ、NPCの扱いってまちまちだからね、もう復活しないパターンと無限に復活するパターン、撤退扱いで戦闘後戻ってくるパターンとか。そっか、チュートリアルさん生きてたんだ、良かったじゃん。でもそうなると……え? 秘術あれば、ゴーレム自爆特攻みたいのも可能って事じゃね?」
「いや、ソウルクレイは木っ端微塵だわ。いっぱい持ってれば出来なくもないけど、コストに釣り合うか? って言うと、かなり怪しいだろ。あとあのくそダサ呪文何度も唱えるの拷問以外の何ものでも無いだろ」
「たーしかに。ティラミス タピオカ パンナコッタ! だっけ? あれ、ヤバかったよね」
「たしかにな、アニーが出て来てないって事は、まだ立ち直れて無いんだろうし、断片は全部揃ったんだし、いっちょ……アンブロシア手稿に重ねてみるか!」
「そうだね。『アンブロシア手稿』って名前、すぐ出なくて一瞬『?』って顔をしたのは見なかったことにしておこうね」
よく見てやがるな、まったく。
「長い間紙移動作業してたからね、しょうがないね」
思わず俺は呟いた。
一体、誰への言い訳なんだろうか。
気を取り直して、インベントリから
アンブロシア手稿を取り出し
断片を一気に重ねる。
みるみる吸い込まれていく断片は
なかなか壮観だった。
「コレでマリナの呟きが来るハズ」
「5枚一気見wktk」
ひっさしぶりに聞いたわワクテカ。
──うまく都市から脱出する事に成功した私は
エルノパームからほど近い場所にある
『死の森』と呼ばれる瘴気に満ち
魔物を産み出す森へと逃げ込んだ。
「お、来た来た!」




