叱咤激励
「出来る出来る絶対出来る! お前の身のこなしは、誰よりも素晴らしいものを持ってるんだ! それを活かさないでどうする! 諦めんなよ! 頑張れ頑張れ、絶対出来るって!」
ふいに、ガシッと肩を掴まれる……様な気がした。
「カシュー君、ちょっと待て、キサマは何をしているんだ」
肩を掴もうとして仕様上の空振りをかましたギガが
ご立腹なされているようだ。
「どうした? 俺はチュートリアルさんのフォローを──」
「それフォローじゃねえわ! 見学する人に出来る出来るって、して貰っちゃ困るからフォローお願いしたんだけど!?」
「あ……あぁー、まあ何というかノリで」
「はいっ! 教官! 私、頑張りますっ!」
「うっさいうっさい! だから見学でお願いって言ってんの! おたく、ちょっとノリ良すぎないか??」
──二人してギガに怒られた。
まあ、ちょっと悪ふざけが過ぎたかもな……
「スマン、ギガ氏」
「デュフ、デュフフ……かまわんよ?」
少しは自重しよう。
ぶっちゃけた話、もう一箇所も
ほとんど片付いてはいる、いるんだけど
チュートリアルさんが闇落ち寸前みたいな
顔をしていたから叱咤激励をしようと……
んで、激励と言えばアレしかなろう
と言う事で、ああいう事になった。
「でもチュートリアルさんもこの通り、元気になった事だし、ちゃっちゃと片付けちゃおうぜ?」
「そこは怪我の功名だねぇ」
言うじゃねえか、まさにその通りだけどな!
「チュートリアルさん、あともうチョットだけ我慢してくれる? 強化人々から断片を掻っ攫うのはチュートリアルさんがメインになると思うし、英気を養って置いて?」
「はい! 分かりました教官!」
ダメだ、効きすぎた……。
時が解決してくれると信じ
俺とギガは作業に専念した。
「ふぅー! 終わった!」
「長かったね」
お前らが悪ふざけしてたからな!
と聞こえそうだが、ギガの表情を見る限り
他意はなさそうだ。
「じゃあギガ、色玉のセットは任せる!」
「えっ! 良いの!? やった!」
虜じゃねえか、気持ちはすごく分かるけど。
「まあ、相手が先制攻撃してきた場合、前衛のギガ以外が耐えられないかも? という意味合いもあるけどな」
「それはそうだろうし、仕事の内と思ってるよ」
んで、変なこじらせ方をしていた
チュートリアルさんは……
「いよいよだけど、ギガが引き付けている内に断片の見極めと回収をお願い。俺の方が近ければ、自分で回収するけど、基本的にチュートリアルさんの仕事だと思って」
「はい! 分かりました!」
これ戻ってるか、そうじゃないか
判断つかないんだけど……
まあ、やるしかないか。




