なんかすっごい
ふう……帰ってきた、この部屋に
──!?
「あれ? 目が霞んでる……? 『8』が『3』に見え……違う、3番ルームだったわ」
自分のアホさ加減に少しだけゲンナリする。
「お疲れ様でした、カウンターにて手続きをお願いします」
よし、行くか。
俺が部屋から出ると、ギガと遭遇する。
「同じタイミングだったみたいだね」
「みたいだな。俺は8番じゃない……だと! っていうガチボケかましてたけど、ギガは何に手間取ってたんだ?」
「いや、3ラウンドやってるから、さすがに疲れたなぁーって」
「そういや、朝からやってんだもんな。しかも連日」
「いやー、満喫させてもらってるよ。はぁ、うちの近くにもフルダイブ喫茶出来ないかなぁ……」
このくらいガチでやってるなら店の近くに
引っ越しても良さそうだな。
「引っ越しも安くないからねぇ」
エスパーか!? いや、いつもの事か……
いや、いつもおかしいんだよ??
「車とは言わないにしてもチャリ買うのはどうなの?」
普段の足として自転車を使ってる俺としては
悪くない選択だと思う。
「そうねー、ゲーマー肥満問題もあるし、それも選択肢の1つかな」
なんて話しながらトイレを済ませて
カウンターへ向かう。
「うお、すっげえ混んでる」
「軽食もあるし、こうなるか……」
俺とギガはフルダイブエリアから出た
スロープの先で立ち尽くす。
「あらン、修ちゃん、雅ちゃん、お疲れ様♪」
ママは忙しい中、わざわざ声をかけてくれる。
「大盛況ですね」
「ええ、おかげさまで。ちょっと待っててねン、コレを片付けちゃったら、対応するから」
ママは手にした食器を軽く持ち上げて
にっこりと笑う。
相変わらず、すっごい……
「分かりました」
「待ってるねママ」
相変わらずギガは気安い
どんな関係だよお前ら……。
俺たちがカウンターに着いてから暫く経って
ママがやって来る。
「お・ま・た・せ!」
「……はい」
ナチュラルにコレやるんだよなママ。
ギガはどうやら笑いをこらえている感じだな。
「じゃあ、お会計を精算しちゃうわね?」
「お願いします」
ピッピッピッピッ……
レジを操作して、俺たちのメンバーカード経由で
代金を徴収しているようだ。
「はい、じゃあメンバーカードとルームキーの交換ねぇ。……はい確かに」
俺たちがルームキーを返すと
ママがメンバーカードを手渡してくれる。
「でも、ごめんなさいねぇ。お客さまがたくさん来てくださったおかげで待機時間中、お店の中で待ってもらうことが出来ないのン」
「うん、見たら分かっちゃうよね」
「たーしかに。大丈夫ですよ、どこかで時間を潰してからまた来ます」
「そう言ってくれると助かるわぁ。急にお客さまが増えたからアタシもビックリしてるんだけど、がんばるわ!」
ママが力こぶを作る。
うん、ガチのやつ。
俺たちはママに軽く会釈をして店を出る。
「晩飯どうする?」
「ホントにね?」
アテが外れた俺たちは、晩飯を求め
うろつく事にした。