死活問題
「追ってこないね……?」
吸い上げた紙のエリアを外れたら
追ってこなくなった感じだったな。
「これはギミック系かな。紙の山よじ登ったら、急に追いかけて来なくなったし」
「灯りの範囲が守備範囲っぽいね」
「そうか、灯りか。ともあれ、せっかくだし一旦座るか? AP回復したいし」
「いや、戦闘中は座れないよ?」
「流石にこれは戦闘外だろ、いざ!座チャレ」
よっこい……
「しょういち、でしょ? 俺は詳しいんだ」
ギガが得意げに言う。
「いや、そもそも『よっこい』すら発していないんだが!? そんな事よりホレ、座れたじゃん」
「これは、確定かな? トリガーなんだった?」
「間違いなく『玉座の灯り』と『色玉』だろ。という事は、色玉の数だけ出てくんの? アレ」
「エリアが被るような場所はキツそうかも。でもやっぱり、紙探すイベントだったんだねぇ」
「囚われの人々が見つけやすくしてくれる感じか? ……という事は取り逃した分は、自力!?」
「他が全部同じ感じならそうかも。でもさ、時間かければ、超安全に集められるって事じゃない?」
嫌だよ俺、そんなの……時間掛かりすぎるだろ。
「うわ、めっちゃ嫌そうな顔してるー!」
ギガが謎にツボって大笑いしてる。
「だって、そんな事やってたらフルダイブの制限時間来ちゃうだろ?」
「まあ、そうだね」
「それに心なしか腹も減ってきたし」
ちょっと前から、なんか腹減ったなー
おやつ食べてから来たのにな?
と思ったら、ゲーム内の方の空腹っぽかった。
「ゲームの方の?」
「そう、リアルはロールケーキ食べてきたからな。でも、こういう抜けられない場所で腹減ったらどう対処したら良いんだろな?」
「そこは『エントランスキー』で……あっ!」
そうかー! エントランスキーでマイガーデンに
行って『売店』巡りすれば良いだけなんだなぁ
ま、俺には無理だけどな!
「こ、こっちのガーデンから行けば大丈夫だから」
「今はそれで行けるけど……ソロだったら終わりじゃね?」
──簡易的な食事になる
『フードアイテム』も存在しますし
『調理設備』を用意すれば
『創作料理』や『料理』アビリティで
対処は可能です。
今はどれも持ってないから、ギガ頼りしかないが
早いうちに用意しないとな。
「チュートリアルさんが言うには調理設備持ち歩きかフードアイテムで対処出来るらしい」
「ああ、フードアイテム。あったね、そんなの」
「ギガがそう言うレベルって事は不人気なの?」
「うーん、まぁそんな感じ。何でそれほど美味しくないを再現したのか? って感じなんだよね。特にバフとかも付いてないし。ボス行く前は食事をとってから来るが鉄則だね」
「スミマセン、食べて来ませんでした」
「ははは、AM始まるって知ってたら食べてきたでしょ?」
それすらも怪しい俺って一体……
それにしても、それほど美味しくない再現か……
ここの運営、おかしな事するよな……
出だしからベル爺さんの
創作料理完食チャレンジさせてくるし。
「はあ……でも俺にとっては死活問題だから、頼るしかないか」
「そうだね、残念だけど」
笑いこらえてんじゃねーぞ、コンチクショウ。




