素朴な疑問だが
「ギガ。素朴な疑問なんだが……何でこの部屋明るいの?」
「え……? ゲームだし、そこまでリアルに作ったら不便だからじゃない?」
「いんや、違うね。俺のルートでは隠し通路があったんだけど、そこ真っ暗でほとんど何も見えなかったんだよ。本が読めないのはもちろん、出口の扉すら激突してから気付いた位の暗さだったわけ」
──確かに激突していましたね。
私にはきちんと見えていましたけど。
そんな所でマウント取るんじゃないよ……
でもおかしいな?
フルダイブ補正で身体のスペックが
ゲームを楽しめるように調整されているハズなのに
俺だけ見えなかった?
まあ、敢えて暗闇に溶け込むような
デザインになってたのは、そうなんだけど。
「態々そんなエリアを用意しているって事は、この明るさにも理由があると思うんだよ。……ランプとか灯りになりそうなオブジェクトは無さそうだし」
俺は周りを見回しながら言う。
「そっかー、じゃあ光源を追えば何かあるのかな? より明るい方、より明るい方……あっちかな?」
ギガは明るい方へ歩き出す。
あっちというか、何ヶ所か明るくなってる場所が
ありそうな感じなんだよな。
ギガを追いながら、それとなく伝える事にしよう。
「つーか、こっち以外にも明るい場所あるくね?」
ギガはピタリと動きを止める。
「何、その話し方……一昔前の若者かよ……」
「ギガお爺ちゃんの好みではなかったか」
「ちょっ! お爺ちゃんって、何で!?」
「今、若者って言ったよな? 自覚が出てきたようで何よりです」
「えー、勘弁してよ……。でも、ホントだね。気を付けて見ると、明るくなってる場所、結構ありそうだね」
「これだけ広いフロア照らすんだから、1つじゃ無理って言えば、そうなんだけどな。取り敢えず、ギガが最初に目をつけた場所に行ってみるか。俺は、罠を引き寄せるっぽいからな」
「ああ、ここでもやっちゃった感じ?」
「ボッシュートなんて、完全にそう。最初の分断だって、まあ俺の意見だしな」
「ドンマイ。でも多分ここ、二手に分かれるイベントだったと思うよ? 毛色の違うルート通らせておきながら、ボッシュートで合流させてるんだし」
「だと良いけど」
謎にボッシュートが共通語になりつつも
俺達は、明るい場所へ向かう。




