フレンド通話
しっかし、散らかってるな……
コレ、ズボラオチとか無いだろうな?
──否定はできません。
可能性は無くはないのが何とも。
さて、さっきの部屋みたいに
謎解きだった場合のことも考えて
部屋を一旦見回そうか。
「部屋は最初のクリニック受付よりひと回り大きい感じ、正面の壁には引き出し付きの机、背の低いテーブル、よく分からない図や数式の書いてある貼り紙、そのほか本棚があるが、本当に棚だけ」
これは前の部屋のギミックと同じは無さそうだな。
「扉は部屋に入った時に見えたけど、部屋の最奥の左右の壁にある。構造的にはクリニック受付、カウンターないVer.だな」
んで、床には様々な物が転がっている。
「本も転がってはいるから、本棚に戻すパターンか? にしては、数が少ない気もするし。取り敢えず最優先で見るべきは、引き出しかな? 脱出ゲームじゃ、鍵が入ってたりもするしね」
俺は、机に向かって最短距離を移動する。
どうせ湧くんだろ? 分かってんのよ俺は。
彷徨える人々が湧くのは百も承知だ。
「いや、湧かんのかい!」
気を取り直して、引き出しを開けようと手を伸ばす
ピロリロリロリン♪
「どわあぁぁぁっ!!」
急に謎の音が鳴り、思わず変な声が出る。
──フレンド通話の申請が来ています
応対しますか?
「はぁはぁ……ギガか。タイミング激悪が過ぎる、心臓飛び出るかと思ったわ。あ『応対する』」
『あ、カシュー君? 良く考えたらフレンド通話あるんだから、話しながら進めようよ?』
「そうか、メールだけじゃなくて『通話』もあったんだな」
『そうそう、あんまり使わないけどね?』
「え? なんで? 便利そうだけど」
『逆に、メールで済まない事って何? って感じなんだよね。フレンドとは、パーティー組むことも多いだろうし、直接話せるよね? それに、通話してると『往来で独り言喋ってる奴』感が凄くて、こっ恥ずかしいんだよ』
「たしかに……そうだな。俺は割と独り言言っちゃってるから、もう手遅れかも知れんが」
『はははは、かもね? ところで、そっちはどんな感じ? こっちは、工場見学兼霊体モンスター狩りって感じだけど』
「どういう事だってばよ?」
『フロアに入ると魔法陣魔法みたいなのが起動して、謎の聖遺物が作られ始める。それが完成したあと、聖遺物と魔法陣魔法の効果か何かで、霊体モンスターの『彷徨える人々』が何体か湧いて襲ってくんの。『このモンスターはこうやって作られています』って言われてるみたいで、工場見学味感じてた』
「へー、こっちにもそのモンスター湧くけど、そんなに数は出てこない感じだわ。というか、こっちは謎解きみたいなのやらされてる」
『そうなんだ。こっちは純粋に戦闘メインだから、カシュー君大丈夫かな? って、連絡したわけ』
「今の所やれてるよ。そういや、この施設『マリナ・アンブロシア』関連らしい、直筆本が出土したわ」
『マリナ……ああ、異端の魔術師か。じゃあこのAM、ガーデン関連のアイテムが出るかもね。個人的には力入れてないから微妙かも?』
「ここは『無垢なる魂』ゲット用イベントだろうな。そう言えば聞きたいんだけど、ギガと別れたあと、アニー・ラムってキャラと会ったんだけど、誰だか分かる?」
『アニー・ラム? うーん……多分登場してないね。──おっと、行き止まりかな? ちょっと調査してみるから、通話切るね』
──フレンド通話が切断されました。
「いやいや、俺も調査中だったんだが? 相変わらずのマイペースだな。ま、今更気にしないけど。さ、俺も進めるか」
俺は改めて、引き出しに手を伸ばす。




