フルダイブ喫茶
フルダイブ型の規制から生まれた新たな商業施設。
『ゲームカフェ』
そんなオシャレな名前で呼んでいる人間はメディア関係者くらいのもので
世間一般の通称は『フルダイブ喫茶(笑)』
(笑)までが定型というなんとも明け透けな呼び名ではあるが
あながち、間違っているとは言い難い。
実際、カフェ部分とフルダイブ筐体の2区画で構成されている店舗が
ほとんどで、異様に場所をとるフルダイブ筐体を配置する都合上
カフェがオマケまである。
カラオケボックスの個室程度の広さの部屋に、フルダイブ筐体がでーんと居座り
ちょっとしたテーブル、フロントに連絡する為のインターフォン
荷物を閉まっておく鍵のかかるロッカー、あとは鏡や除菌シートなど雑貨が少々……
お決まりの配置はそんなところだろう。
そんな部屋が幾つも必要になる為、店舗もそこそこ敷地を必要とし
とても喫茶などという規模では収まらないがために(笑)
そんなサイズ感と普及率ゆえに、都内等にポンポン乱立するのは
いささか無理ゲーが過ぎる。
しかし、地価のお手頃な郊外では、フルダイブ喫茶に活路を見出したのか
それなりの数が出店し、周辺施設も充実している。
フルダイブを求めるニッチなゲーマー達は、休日になると
こぞって郊外へ出かけ、健康ラン……もといリーズナブルなホテルを取り
フルダイブ喫茶に入り浸るという光景も日常と言って差し障り無いくらいには
目にする機会も多くなった。
そういった施設が数を増やしたせいか、少しばかりの技術革新が起きた。
『マイヘッドセット』
他人が使ったヘッドセットを使うのは、さすがにマジで嫌
という声がそこかしこから上がり、そんな声をうけ
とあるベンチャー企業が開発し
一部界隈から、大絶賛の嵐を巻き起こした。
フルダイブ筐体自体が大型の為、技術的な物の大半はそちらに詰め込める都合
ヘッドセットはユーザーデータの保管とプレイデータバックアップ機能が
あれば必要充分なので、他の機能は自分の趣味で選べ
とはフルダイブ初心者向けの、質問スレにてよく言われている。




