ゲテモノ召喚
しのらーさんはエリアの中央あたりに移動し
インベントリから何やら枝を取り出す。
あれ? なんか見たことあるぞあの枝。
──はい、主人も所持しています。
あれは『世界樹の宿木』ですね。
世界樹の宿木 武器 杖 聖遺物
自身を対象にする補助魔法の効果時間を10秒延長する。
この世界を創り出した世界樹に寄り添う事を許された宿木の小枝。
『永遠』を象徴し、僅かながら
世界の理を変えることができる。
「また杖かいっ! しかも自身対象補助持ってねえし! よくよく考えたら導きにも使えないじゃん……」
──持ち腐れ、そんな言葉が過ります。
「うっさいわ……分かってんのよ、そんな事は」
俺はガックリと項垂れる。
「すまないカシューくん、ちょっと集中したいんだ、静かにお願い出来るかい?」
俺がうるさかった件。
「はい、スミマセン」
しのらー:
魔法発動! 『円陣構築』
→しのらー:構築態勢
何やら自身に魔法をかけたあと
インベントリから琥珀色の粉を取り出し
宙に向かって投げる。
すると、粉は意思を持ったように
空中に魔法陣を描き始める。
「これ魔法陣魔法か、教会で見たのとは違う模様だな」
──はい、魔法陣魔法は用途別に模様が違い
魔法陣のサイズ、描くために使用した触媒
流し込んだ魔力などで、その強弱を決めます。
「へー、複雑そうだな。というかコレ……めちゃくちゃデカくない?」
──そうですね、エリアが狭いとはいえ
大半を占めるサイズは異常とも言えます。
しのらーさんは続けてインベントリから
キラキラしたものを取り出し、空に投げる。
それらも粉と同様、自ら定位置に向かって飛び立つ。
「宝石か? ……いや、見たことあるやつ混ざってる。ここで捕れる虫だろアレ」
──の、様ですね。
そして中央に『世界樹の宿木』を突き立て
静かに口を開く。
「構築終了」
しのらーさんが唱えると、宙に描かれた魔法陣が
地面へと移動した後、強い光の柱を放つ。
強い風が起こり、渦を巻く
あたりは暗くなり、何かが出てくる事を予感させる。
「女王アンの時と似てるな……」
しかし、そんな演出には目もくれず
何やらフラスコのようなボトルに入った
紫色の液体を飲み干す。
「魔力回復系かな?」
──おそらく、そうでしょう。
「二重召喚! 出よ! 『機械仕掛けのコーカサス』『機械仕掛けのギラファ』」
おい……おい、おいおいおいおいっ!
あれって! コーカサスオオカブトと
ギラファノコギリクワガタだよな!
メチャクチャカッコいいじゃねーーーか!!
しかも、バッチバチの機械じゃなくて
ハニワとメカを足して2で割ったような
古代の機械っぽくてサイコーだよ!
「わかりやすく言うなら、ヘ〇ガー!」
──主人! それはアウトです!
「カシューくん、『機巧人形師』の戦い方、とくとご覧あれ!」
しのらーさんが高らかに宣言するとほぼ同時に
その、しのらーさんと相対するように
巨大なボスが降臨する。
ぎゃああああああああぁぁぁぁーーーあ!!!
──主人のエンカウントでは無いので
演出は無い様ですね。
──あのボスモンスターの名は『天ヲ統ベシ昆虫王』
「リアル究極完全態ムリ……ガクッ」
──探索者は状態異常以外では
気を失ったりはしません。
あまりにも無慈悲……。




