晩ごはん
ランダムギフトボックスにより
えも言われない気分になった俺は、気を取り直し
自由に動き回れる喜びを噛み締めることにした。
「ホントに自分が動いてる感じだな、窓とか開けられるのかな?」
窓辺に寄って窓枠に手をかけ、上に開け放つべく力を込める。
──ぐっ!
……ダメか、こんなあからさまな逃走経路は用意してくれないか。
「いや、違う。これボロいだけだ」
ガツン!
ちょっと力を入れると、窓は勢いよく開け放たれる。
だから、補修ェ……
「いい風だぁ、マイナスイオンが感じられるわぁ──なんて言ってる場合か、この窓から出てみるか」
よいしょっと、お、いけそう! マジで自由に動くな。
と思ったのも束の間、キッチンの奥の方から声がかかる。
「もうすぐ晩飯じゃ、外に行くのは後にしてくれ!」
さすがにバレてたか。
仕方なく部屋を出て、玄関へ向かい
ドアノブに手をかける。
普通に回るなコレ。
何の変哲もない、手応えのドアノブをひねり外へ。
「もうすぐ晩飯じゃ、外へ行くのは後にしてくれ!」
同じリアクションが帰ってくる。
これは、指定の場所に行くまで進まないタイプだな、良し!
俺はおもむろに柱に登り出す。
「これもいけるんかい! 謎解きとか探索とか、超難易度にならんかコレ?」
気づくとベルが、ドン引きした表情で見つめていた。
……俺が悪かったよ、だからそんな顔すんなよ。
しぶしぶ俺はキッチンへ向かう。
ベルは何事も無かったように、話しかけてくる。
「ちょうど良いタイミングじゃ探索者! 晩飯が出来たゾ、さあ食卓につけ」
案内されるまま、俺は食卓につく。
すると間もなく、俺の前に料理が並べられていく。
パン、スープ、謎の肉料理、サラダと思しき緑の草たち。
「マジか……いやマジか」
ありがとうございます、いただきます。
──思わず本音と建前が反転するほどの衝撃のメニュー達
早く食べろと言わんばかりに、こちらを見つめるベル。
「……いただきます」
先ずはパンをかじる。
──硬いが食える、普通。
お次はスープ、見た目に限っては、まともそうに見えたので
2番手に抜擢。
──なんか臭っ、それに酸っぱい? 大丈夫かコレ。
そして謎の肉料理……
なぜ、肉料理なのに味がない? どういう事?
しかし味が無いということは食えるという事、暫定2位。
あの緑の草たちに一瞬だけ視線をやり思案する。
そして俺はある結論にたどり着く。
「はぁ〜」
一見、満足そうに聞こえるため息をつき、満腹アピール。
するとどう捉えたのか、ベルは満足気に頷き喋り始める。
「フォッフォッフォ、気に入ってくれた様で何よりじゃ、サラダも食べてくれ、きっと気に入るぞい!」
──カシューは逃げられない!
墓穴をほった!!