作戦本部
そうだった、ガリアンの目の前でログアウト
したんだったわ。
「来たなカシュー」
「え? 汚れてる?」
「…………」
また残念な生き物を見るような眼差し。
うん、慣れた!
「どうやら、フィールド編集は済ませて来たようだな? このまま、ガーデン侵攻戦のチュートリアルに入っても良いか?」
「望むところよ」
俺は力強く頷く。
「良い返事だ、では始めるぞ」
ガリアンがそう言うと
チュートリアルモードになったのか
自動的に画面が遷移し
ガーデンネットワークに接続される。
ガーデンネットワークの項目が
これまた勝手にスライドして
『ガーデン侵攻戦』の項目で止まり、決定される。
直後、視界が切り替わり
古い戦争映画で良くある『作戦本部』のような
景色が映し出され、何やら勇ましいBGMが流れ出す。
「おおう、なんか急に画面が変わったな」
──主人、ここからは
私がご案内しますね。
お、チュートリアルさん。
──まずは指揮官席にお座りください。
司令官って、大袈裟だろ、流石に……と内心
思いつつも、案内された席に腰をかける。
「おっふ! やわらかっ! 偉い人ってこんな椅子に座ってんだな」
──よろしいですか?
「あ、ごめんなさい」
──ここは『ガーデン侵攻戦作戦本部』に
なります。
その席でインベントリから
『タクティカルボード』を選択すると
フルダイブ以外の端末と同様の
フィールド編集や、英雄・守護獣の編成
などが行えます。
物は試し、インベントリから
タクティカルボードを取り出すと
テーブル上にスクリーンが表示される。
「お、なんか映ってる。あーホントだ、家でやったのと同じ感じで編集とかできそう。感覚的にもサイズ的にも、タブレットPCいじってる感じだな。フルダイブしているのにどうなのか? とは思うが」
──では、右下にある『縮小マーク』を
タッチして下さい。
「ああ良くあるコレね、ポチ」
俺が縮小マークをタッチした瞬間
タクティカルボードが光の粒子になり
俺の手首めがけて飛んでくる。
ほんの少しの間があって、光が収まると
タクティカルボードは腕輪状に変貌を遂げていた。
「ボードとは」
──名称についてはどうでも良いんです!
先ずは、その状態でステータスメニューを
開いてください。
怒られたので大人しくしたがう。
俺は手を横に払い、ステータスメニューを開く。
「んん? ホログラムプレートの4分の3くらいを占める謎表示は一体……?」
──はい、そちらがガーデン侵攻戦中に、一般兵の配置や
指示、その他様々な用途に使用出来ます。
「ふーん……いや? まさか、ガーデン侵攻戦には俺自身も出撃する訳じゃないよな? 人喰魚みたいな奴と肉弾戦とかしたくないんだが……」
──はい、気をつけてくださいね?
「血も涙もねぇ……」
──その腕輪装着時に、手でカギカッコを作り
拡げる動作をすると、ボード状に戻ります。
こうかな? と言われた通りの動作を試みると
再び光の粒子になって机の上へと向かっていき
元通り、スクリーンが表示される。
「ほうほう、じゃあタクティカルボードをしまうのはどうやるんだ?」
──席を立って頂けば、自動的に収納されます。
「じゃあ、この辺でおいとまさせていただきま──なに!? 立ち上がれない!」
──残念ながらコレはチュートリアル
つまりは私の『領域』!
勝手な真似は許しませんよ?
トイレとか、プレイ時間終了時はどうするんだろう?
──やむを得ない場合は申し出ていただければ。
「ね〜え〜、勝手に脳内……」
──さあ、再びタクティカルボードを装着して下さい
いよいよ侵攻戦が始まりますよ!




