ギルド寄宿舎
ガリアンに案内された先には、確かに寄宿舎があった
……あったのだが。
「いや、ボロすぎん?」
「ハッハッハ! だろう?」
いやいや、だろう? ちゃうわ!
壁の漆喰は所々剥がれ、無事な部分もヒビ、汚れのオンパレード
屋根には苔が生い茂っており、遠目では緑の屋根かと思うほど
ツタも至る所に這っており、こんなの殆どお化け屋敷だよ。
「大丈夫なんですか? コレ……」
「心配いらない、管理人の『ベル』が補修はしている」
そんな話をしながら、寄宿舎の扉の前に辿り着き
ドアノッカーを叩いて、中の人間を呼ぶ。
少し遅れて足音が聞こえ、扉の前まで来たところで
解錠の音がし、扉が開く。
──ギギギギィ
「ガリアン殿か、という事はそこの人間が利用者かね?」
出てきたのは、ちっさいおっさん……では無く
白髪のボサボサ頭に小さな眼鏡をかけたドワーヴンだった。
えぇ……こういうのって、若い女の子とか
そうでなくても、恰幅の良いおばちゃんとかじゃないの?
ドワーヴンの爺さんとか誰得!?
「ああ、今回も頼む」
「はいはい、承りましたよ」
「ハッハッハ、そう言うなベル、今回も直に出ていくだろうさ」
「それではワシが追い出しているように聞こえかねませんなぁ」
やべえ所に来ちまった気がする。
「さあ、こっちだ探索者。空き部屋は幾らでもある、好きに使うと良いわいフォッフォッフォ」
たくわえた髭のせいか、やけにこもった笑いが耳についた。