探索者生活課
「ほう、君はノービスだったのか」
ガリアンが納得いっていない表情で頤をつまみながら唸る。
「意外だったのですか?」
NPCにダメ元で話しかけてみる。
「ん? ああ、もっと何か別の雰囲気が……いや、気のせいだったのだろう」
話が通じてるっぽい、これ会話バリエーションエグい事になってそうだな。
「とりあえず、探索者ギルドへようこそ。カシュー」
「よろしくお願いします」
「うむ、よろしい」
ガリアンは満足気に頷く。
「スタークの奴から、探索者生活課の概要は聞いているだろうか?」
何度聴いても違和感がすごいな(笑)
「クエスト受注と引き換えに、しばらくは宿と食事の提供が受けられる。といった感じの話は聞きました」
ガリアンは小さくため息をつく。
「まあ活動としては、あながち間違っていないかもしれないが……実際は駆け出し探索者や身寄りも手持ちもない探索者を保護の名目で再教育し、ギルドの利になる者をつくり出す、あるいは見極める機関だ」
「そんなにはっきり言って大丈夫なんですか? 結構受け取り手によっては拒否反応出そうな文言が出てきましたが……」
ガリアンは、にっと笑う。
「そもそも、探索者は探索者ギルドの利になる者でなくてはならない。元来そういう物だ。クエスト受発注や、素材の買取、クラスの管理等々、なにも慈善事業でやっている訳では無い、探索者ギルドにメリットがあるから、請け負って居るのだよ」
あまりにも直接的な物言いだな……理屈は分からんでもないが。
「とは言え、クエストを数回やってもらえば、自分の食い扶持は自分で稼げるようになり、生活課の庇護下をとっとと出ていくがな。ギルドで働きたい人間以外は、ここに長く留まったりはせんよ」
「え……途中で抜け出しても良いんですか?」
「構わん、抜け出しても止めないのは見極めが済んだからだよ。まだ力不足と見れば、常に監視している職員が拘束なりして連れ戻す。正直、伺いを立ててから出ていって貰った方が、こちらとしては助かるんだがな」
アリアドネの言ってた事はホントっぽいな。
「では、寄宿舎へ案内しよう。手荷物はあまり無さそうだが、少しの間は拠点となる場所だ、見ておきたいだろう?」
「はい、お願いします」




