マジックバンドルという名の……
暫し座りこんでの談笑をしたおっさんずだったが
毒状態の回復と共に動き出す。
「案外短いのな、毒状態って」
「ね、動かなかったら回復アイテム要らないんじゃね? ってくらいだね」
「いや、流石にヒールポーションは使ったぞ?」
「そうじゃなくて、毒消しアイテムの事だよ」
「いやー……それでも要るだろ、フルダイブだし。タイムロスは減らした方が良いだろ」
「──と、タイムロスを発生させた本人が仰っております」
「はい、すんません」
これ以上は無駄にしないためにも、当初の目的を
回収してしまおう。
「……見当たらないけど?」
「その奥の瓦礫の影に隠されてるよ」
「いや、念入りすぎるだろ、そんなん見つからないって……」
あ、スポット採集ポイントになってるんだ。
どれどれ……うん、見慣れた皮袋がある。
──『マジックバンドル』を手に入れました。
「ゲットだぜ!」
「うん、ゲットだね」
とはいえ──
「ぶっちゃけインベントリの枠、余ってんだよね?」
ギガの表情から苦笑いがもれる。
「まあ、序盤な上に2つ目だしね。分けておきたいアイテムを入れとくと良いよ」
「なるほど、じゃあ虫捕りでとった虫たちを入れておこう」
「虫カゴか!? まあ、良いけど……何でまた?」
「他のアイテムと『虫』が同居するインベントリって、嫌じゃね?」
「いや、言われてみればそうだけど、枠ごとに分かれてるよね?」
「気分の問題だよ、単なる。それはそうと、ここはもう良いんだろ? じゃあ、静けさの森に行くか」
「そうだね、どうせネームドにあったら瞬殺されるんだから、回復アイテムも要らないだろうし、サクッと行っちゃおうか」
そうか、次に行くところはネームドに
遭遇する可能性があったんだ──待てよ?
ギガが以前、ネームドに遭遇した事が
あるって言ってたよな?
その相手は化け物級の大ムカデ。
そして今から向かうは『静けさの森』
そこには二強と呼ばれるネームド
『隻眼ノアルクトス』
そして……
『赤地獄ホットセンチピード』!!
「……終わった」
「え? 何が!?」
嫌な予感しかないけど、とりあえず
静けさの森に歩みを進めた。




