隠しエリア
座り込んでいた俺は、ふとクニクルsp.が去っていった
瓦礫の方を見る。
──ん?
「あの隙間の向こう、なんか空間ない?」
瓦礫の隙間の先を指差して
ギガに確認させる。
「うん? どれどれ……確かに。でも、あの隙間は通れないでしょ? さすがに」
「瓦礫退かせないものかな? オブジェクトだから無理か?」
俺は立ち上がって、瓦礫に歩み寄る。
「そぉーれいっ!」
手頃なサイズの瓦礫を持ち上げるモーションを
取ってみる。
──ポーイっ!
「うわっ! 危なっ!!」
まさか持ち上がるとは思ってなかった為か
おもわず力みすぎて、ギガの方へ
岩といって差し支えない物体が
結構な勢いで飛んでいく。
「え!? 動かせんの?」
「みたいだね、という事は『隠しエリア』ってコト?」
「動かせるだけ動かしてみようぜ」
俺たちはせっせと岩を運ぶ、たまに入ってくる
他の探索者に奇異の目で見られても気にしない。
「これで、全部だね」
「そうだけども……せっまーい! 這ってギリギリじゃね?」
クニクルが通るには問題がないが
探索者が通るには、いささか狭いが過ぎる。
「でも行くしかないでしょ? こんなの」
「当然だよなぁ!」
身を細くして這いつくばり、ジリジリと
細いトンネルを抜けていく。
「くっ! 土臭い! こんな所までリアルにしなくても良いんだよ運営さん?」
「カシュー君、早く進んで! アバターとはいえ、おっさんのケツを長時間見ていたくない」
「うっさい、オッサン言うな! オッサンだけども!」
ナイーブなお年頃なんだからね!
「なんとかなんとか、這う這うの体で脱出出来たな!」
「字面はとてもしっくりくるけど、意味あってる?」
「いや、分からん!」
なんか大変な思いをしたってニュアンスでしょ?
「それにしても、これは……」
「うん、これは……」
「何にも無い!」
「何にも無い!」
うっそだろ? あんな思いして何も無し!?
「これってもしかして……没マップ?」
「えぇ〜マジかよぉ。ホントに何も無いんか? 何か収穫が無いと、帰り道の苦行に耐えられそうもないんだが!?」
俺はあちこちウロウロしてみる。
とはいえ、大した広さも無いのですぐに
一通り周れてしまう。
「マジかよぉ……」
「残念だったね……ん? 今、チラッと画面に表示された文字があったんだけど、すぐ消えちゃった」
「その辺は俺もうろついたけど? ──! これか!!」
『虫捕りをする』
──『虫捕り』とは
虫あみを用いて、採虫ポイントにて
『虫系アイテム』を獲得できます。
また、獲得アイテムに応じて
経験値も得る事ができます。
「虫捕りか……デカいの出てこないよな?」
「それは、大丈夫でしょ? 虫あみって大きくは無いし。それより、カシュー君の動体視力の衰えが垣間見えたね」
「うっさい、あんな一瞬じゃ、何かあると思ってなきゃ見つかるはずないわ!」
祝200話目、でも文字数ェ……
しっかし、この内容で良いのだろうか?
今後ともよろしくお願いします。




