フルダイブMMORPG
今日、日本でのフルダイブVRMMORPGの普及率は
正直なところイマイチだった。
──ゲーム好きな人間からすれば、そんなハズはないだろうと
思うかもしれないが。
手軽に遊べるモバイル端末が、未だに根強い人気があり
老若男女、誰でも遊びやすく、開発側の集金もしやすい為だ。
加えて、初期こそゴタついたメタバースも今は主要な物に絞られ
一定の人気を勝ち得ている。
それらに比べてフルダイブ型のネックになっているのは
圧倒的な手軽さ不足。
一昔前の漫画や小説ではヘッドギアを装着して
ベッドに横たわりプレイする様が描かれているケースが
散見されたが、現実は違った。
ゲーム内の感覚共有を実装する上で大型化を免れず
どデカい全身マッサージチェアに、これまた本体と一体になった
大きなヘッドセット
ロボットのコックピットの様で、テンションが上がる人も居るだろうが
当然、費用もかなりの高額になる。
しかし一番の理由はそこでは無い。
フルダイブ型が発表されてから、様々な大手メーカーが
有名タイトルのナンバリングタイトルや
魅力的なタイトルを引っさげ参画した為
ゲーム機本体の値段と、それを置くスペースにも目を瞑って
購入したユーザーは一定数いたのだが
……そこで問題が起きた。
『安全性の問題』である。
ゲームプレイ時の演出でショックが強すぎて
心身に不調をきたすような事はあるにはあったが、極小数だった。
では何が問題だったのかと言えば、それ以外の部分である。
全身を拘束され、視界を遮られ
周辺の音も聞こえにくくなっている状況で1人でプレイしている
という事で、周りで何が起こっていても、ほぼ気づかない。
実際にあった例としては、火事が起きたにも関わらず
本当に自分の周りに火が回るまで気付かず、逃げ遅れるケースや
プレイ中に空き巣に入られても気付かず
プレイを続けて遊び終わったあとに被害に気づく。
更には、海外では殺人事件が起きた事もあった。
それらの要因のせいで、法律により個人への販売は原則禁止とされ
強制的に業務用筐体として扱われる事になり
フルダイブ型は家庭用という立場を剥奪される事になった。