はじまりの平原の廃ガーデン
「んで、どこにあんのよ? 廃ガー──あるな、あそこに」
「何で今まで見えなかったのか? という位あからさまにあるよね」
少し見渡した程度で入口が見えるなんて『監視者』も楽だったろう。
「廃ガーデンのチュートリアルみたいなものだろうな」
──呼びました?
「呼んでません」
「?」
俺とチュートリアルさんとの会話に
はてなマークを浮かべるギガ。
そんなものは、とりあえずスルーし話を進める。
「でもま、とりあえず寄っとくか。見てほしいんだろうからな」
「カシュー君がそういうなら、寄ってみる?」
俺たちは『入口むき出しガーデン』へと向かった。
「ホントにカードキーとその扉すら無いんだな」
「ガーデンってどうすると、こんな風にフィールドに繋げられるんだろうね」
「監視者の秘伝かもな。うちのガーデンはアクセス悪すぎるから、こういう感じでも良えんやで?」
「エントランスキー持ってないの笑えるよね」
「笑えねえわ……」
無駄口を叩きながらどんどんと奥に踏み入れる。
「俺らのエントランスと大差無いな……ただ、酷くボロボロだが」
「監視者勢って『対処(物理)』な感じなんだろうね」
「というか、俺らのマイガーデンってガーデンエナジーの供給止められた設定だったよな? 要するに、場所特定されたわけだろ? 何で無事なん?」
「言われてみればそうだよね。完全に『対処(物理)』案件なのに」
そこで俺たちは足を止める。
──クニクル?
「あれってクニクルだよな?」
「そう……だと思うけど、なんか違和感ある」
「俺もそう思ってる。何が違うのか──そうか! 偵察使えって話だよな!」
『クニクルsp.』 獣 小型 狩猟対象
「……なんかspってのが付いてる」
「レア個体かな? どうする? 殺る?」
「物騒だな」
思わず苦笑いが盛れる。
「ちょっと待って、レア個体なら、せっかくだしスクショ撮りたい」
「え? カシュー君、スクショ付きのヘッドセットなの? スクショ無くても動画取れるから、あんまり必要無いけど」
今度はギガにドン引きされる。
「良いだろ、別に! これはコレで趣があって」
「分かったよ、早くしないと逃げられちゃうよ?」
ギガに急かされて、慌ててフォーカスを合わせる。
──カシャ!
「なにこれ可愛い〜」
「あ、カシューおねえが出た」
撮ったスクショをギガにも送る。
「これは奇跡の1枚だね。丁度振り向いて、鼻をヒクヒクさせてるシーン、狙ってもなかなか撮れないよ──あっ!」
そんな事をやってる間にクニクルsp.はガーデンの奥に逃げていく。
「やっべ! 逃げられる!」
俺たちは急いで追いかけるも、クニクルsp.は
壁際にあった瓦礫の隙間に消えていった。
「やっちまったぁ」
「まあ、倒してもドロップしたか分からないし、しゃーない。最高のスクショ撮れただけでも良かったんじゃない?」
「そういう考え方も……あるか?」
俺は、ガックリと力無く座り込む。




