帰り道の事
またしても暴走した俺は肩を落としながら
帰り道を歩く。
「カシュー君、引きずりすぎだって」
ギガは笑う。
「そうは言ってもよぉ、最近多過ぎない? 自分でも自分が嫌になるわ、流石に」
「ふむ、これは重症だな。『カシュー』呼びにも気づかないとは……」
「──ん? なんか言ったか?」
「いや、『重症』だって言っただけだよ?」
「そうじゃなくて、何か聞こえないか?」
──誰かの話し声が聞こえる。
「いや、よく分かんないけど?」
いや、確かに聞こえる……こっちか?
声の元を辿っていくと、いつぞやの公園に辿り着く。
「ここは……」
「公園だね? あの人かな? 知り合い?」
──『あっし』じゃん。
「ん、ああ……ちょっと何かありそうだから聞いてくる。ギガは先に帰っててくれる? これ鍵ね」
「わかった、ヤバそうなら逃げた方が良いよ? 何があるか分からんし」
「分かってるって。じゃ、また後で」
俺はギガに向かって手をヒラヒラさせて
帰宅を促す。
「さてと……行くか」
俺は深呼吸をしてから、あっしに近寄る。
「よう! あっしじゃん。珍しく早えな」
あっしはビクリと身体を震わせる。
「おっと、電話中だったかスマン」
慌てて電話を切ったあっしは、こっちに振り返る。
「修一さん……、どうも」
あっしは力無く会釈をする。
「邪魔しちまったな。大事な話だった……?」
「いえ、大丈夫です。修一さんは、仕事帰りですか?」
「あーいやいや、遊んできた帰り」
「遊んできた?」
「フルダイブ……いや、近所に新しく出来たゲームカフェあるじゃん? 最近そこに通ってんだよ」
「ああ、朋美もたまに行っているようですね」
あっし、やっぱり朋美と何かあったのかな?
「あっしもどうだ? 意外と楽しいぞ?」
「自分は、そういうのよく分からなくて。それに仕事もあるから」
「なんか、俺の胸にズキリと痛みが走ったんだが」
「はは、他意はありませんよ、本当に」




