フルダイブ初体験の後
ヘッドセットのフェイスガード部が周辺の光量を自動調節してくれて
体感的には、現実の景色がフェードインしてくる感覚で目覚める(?)
まあ、言い回しは良いか。
俺はヘッドセットを外し、スタート前に朋美がいた方を見る。
「どわぁ!」
「うきゃあ!」
想像以上に近くにいたため、びっくりして、思わず声が出る(2回目)
しかしその声に驚いたのか、朋美も驚きの声を上げる。
「近い! 近いって。しかも『うきゃあ』って……猿か」
「あービックリした! いきなり変な声出さないでよ!釣られて変な声出ちゃたでしょ!」
これは、俺のせいなのか!?
「ところで、初のフルダイブ型はどうだった?」
「いや、ヤバいな。映像型のアトラクション、要らなくなるんじゃ無いか?」
「そうそう、ほんとそれなのよ! あと、身体も思った以上に動くでしょ? アレって、ゲームに必要な身体的スペックにAIが調整してくれるんだよ」
「そういや、チュートリアル中に補正かかったのを感じたな」
「うんうん、だからお年寄りや身体に何かしらの問題を抱えてる人でも、かなりアクティブに動けるの。怪我で入院した人のリハビリ用ソフトなんかもあるみたいよ?」
リハビリになるのか……?
「イメージトレーニングも有効なのよ、身体が動く体験を脳が覚えることで、動かなかった手が動いたって人も居るらしいし。まあ、筋肉は別途鍛えないといけないけどね」
さらりと人の心を読むんじゃないよ……
「これは早く続きがしたいな、ちょうどキャラクリ直前だったから、ものすごくやきもきしてるわ。これは義雅と行く前に1度フルダイブ喫茶に行かなくちゃ行けないかもしれん」
義雅の名前を出すど、頭にはてなマークを浮かべる朋美。
「ギガ?」
「ああ、前の職場の友達。たしか、そういうのがいるって話を朋美にもした事があったハズ。流石に本名じゃ無いけどな」
「ああ、修一がハマってたMMOのお仲間さんだっけ?」
「そうそう、それ」
そんな他愛も無い話を少しして、朋美は業務に戻り
俺はマイヘッドセットとSEVENS GARDENの
ソフトを手に帰宅の途につく。