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35 8割くらいノアのせい

ジャンル別日間10位、週間7位まじでありがとうございます!

あと週間二つ上がったらトップページからも見れますよ! すげえ!


「あたしたちの敵? 知らないわよそんなの、教皇が急に聖戦を始めるとかで王家はそれに従ってるだけなんだから」


 目の下に大きい隈を作ったイサベルが苛立たし気にそう話す。

 神楽曰く、イサベルは教会を嫌っているそうなので聞くならイサベルだと言われた。

 あちらは様々な方法で情報収集をしてくるらしく俺は邪魔だと言われてしまった。道案内くらいにはなれるのに。


「そういえば考えもしなかったわね、勇者候補を決めた後のこと」


「歴代王家の中でも一位二位を争うんじゃないですかね、イサベル様が教会嫌いなの」


「もう一人は?」


「現王」

 

「なるほど」


 王が教会を嫌いだとしても教会の支持が大きければ従うしかないもんな。

 下手に教会の権威を下げてしまえば民衆からの反感を買いかねないし、だからといって理由も聞かずに勇者候補を集めるのはいかがなものかと思うが。


「だって教会ってあたしの意思も確認しないで祝福なんてもの授けられるじゃない。一回目はあたしの固有スキルで凌いだけど、あんな禍々しいもの誰が受け取るもんですか」


「禍々しい祝福?」


 待て、祝福ってなんだ。

 もしかして今回真の敵を見つけられなかったらラスボスはもしかしなくともイサベルになるのか?

 

 混乱が上回り、革張りのソファーに深く腰掛ける。

 机の上にあるジャムが乗っかったクッキーを頬ばりながらちゃんと情報を整理していく。学校から持ち帰っていたプリントをあちらこちらに置いて母に叱られた覚えがあるが、確かにこれは怒られて当然だわ。


「ん、この前ジンたちと教会に行ったときは大丈夫だったのか?」


「ええ。あの時は事前に教皇がいないって確かめたもの。祝福は教皇を経由しないと授けられないから、堂々と行ってやったわ」


 忘れないうちに今のイサベルの言葉を神楽に送っておく。

 絶対重要だ、今のは。知らんけど。


 すぐ返信の通知が届いていたので確認してみると、『くぁwせdrftgyふじこlp』とだけであった。


 え、は、なに?

 そっちで何が起こってるの??





 ----


 



「ったく、前回はノアと一緒やったから勝てたのにこれはないで」


 【ヒール】を使い八岐の傷を治すが、生意気にもわしの傷を心配しているようや。

 普段はわしのこと怖がっとるくせにこういう時にはそんなこと忘れるのがかわええとこなんやけどね。


「に、ちゃん……傷……」


 傷だらけの八岐の後ろで縮こまっているんはウサギの男の子。

 足をくじいているところを助けたとこに神の使いが来よったもんで、まじでタイミングが悪すぎる。

 足が使えんかったら走って逃げてもらうこともできん。かといって八岐に運んでもらうにもそちらにタゲが行ってしまえばわしが追いつけんかもしれんときにどうもできん。

 ノアがいれば【挑発】してもらって戦線離脱してもらえるんやがな。


「あかんあかん。こーゆーときにノアを頼ってまうからわしは弱いんよな」


 お面をその場に捨て、視界を広くする。

 速さが上がるメリットはあるけどスピードを上げる系のスキルは積極的に取ったおかげでお面がなくてもまだわしの方が早い。


 はぁーと、深く息を吐きだす。


 そして。


「【閃光】」


 遠くにいたはずの神の使いが今の一瞬でわしの真後ろにいる。

 猫になって視力は落ちたけど反射神経は更に強化された気ぃするわ。

 成功率の低い【閃光】がこうも簡単に成功するとなんか今までの努力があっけなく思えてしまうのはわしだけやろか。


 がら空きの背中にボックスから出した短刀を深く突き刺し、神の使いが慌てて振り返る頃には【閃光】でその真後ろに向かう。

 ギャンブルにはまる人の気持ちがよー分かるわ。

 【閃光】の成功率は30%、集中すれば50%と二分の一。


 三本、四本、五本……神の使いに刺さる短刀の数が増えていく。

 短刀を刺す時も適当にすれば簡単に抜けてしまうし、傷口は最小がええ。八岐のときはノアに傷口の隙間をふさいでもらったんやっけ?

 あんときはリマはんがおったから楽やったけど、わしの【ヒール】やと短刀が跳ね返されてしまうからしゃーない。


「あ、なくなってもうた……あれ?」


 二桁をすいてから本数を数えるんも面倒になってたのに。

 神の使いはもう既に死んどったらしい。他の敵みたいにすぐ消えるわけやないから全く気付かんかったわ。


 短刀を全部抜いてくのも面倒やし、神の使いが消えるのを待とうと思ったところにウサギの子がわしに向かって突進してきた。


「にいちゃん、これ! すごい、かっこよかったよ!」


 お面を一緒に持ってきてくれたんは素直に助かったし、犬にやるようにわしゃわしゃと頭をなでるとウサギは嬉しそうに笑った。


「あ、にいちゃんの目一緒だ」


「目? わしの目、赤色になっとる?」


「うん。でもね、でも俺の赤よりきれいだよ!」


「は! 口が達者な子供にはこうや!」


「わー!」


 わしの目は髪と同じ色やったはずやけど、どうしたんやろうか。

 ヒル……わしの種族ロックを解除してくれたあの子と関係あったりしてな。

 ……あり得る気するな。


 ノアは耳が良くなった言うとったけど目が悪くなったわしみたいなことは言うとらんかったし、ロックを解除した子の能力を一部貰えるとか?

 でもそれやと強い種族の強いやつに頼んだもん勝ちになるもんなぁ。


 わしらみたいなプレイヤーはルゥくんと一緒に掲示板やら確認したけど見つかっとらんし、というか完全お任せなんてノアに言われんかったらわしも見逃しとったわ。

 背景色と同化しとったし、気づく人は少なそうやった。


 やから何が原因でこうなったとか、対象となる人が見つからなくてさすがのわしもお手上げ状態。

 プレイヤーにNPCやと勘違いされてるみたいやし、直接聞くのも無理やもんなぁ。

 でも割とどの掲示板を見てもわしらの話題が多いのはおもろい。ノアをどうやったら攻略できるか、とか見た時には腹抱えて爆笑しとったわ。

 「Noir.」とわしらが関わっとることに気づいてからはお祭りみたいでつい田舎の両親にわしのこの服のスクショを送ったもんな。


 田舎の両親はわしがノアに貰っとる服を着たら泣いて喜んでくれるような人らやけど、気になってブランド名を調べた二人は卒倒しそうな勢いやったわ。

 そのことノアに伝えたらわざわざ両親の分までくれるんやもんな。まじでええやつやよ、あいつは。


 ウサギをわしゃわしゃしている内にようやっと神の使いが消えて、残った短刀を一気に回収する。

 何か拾ったアイテムはないかボックスを確認してみると見覚えのある石がそこにあった。


「早くノアに説明――ん!? イサベルはんがラスボ可能性!? は!?」





 神楽が良く分からない文章を送ってしまったのは結局ノアのせいだった。

 

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