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僕は全てを極めます!  作者: ゆるん
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世界最強は魔法を作る

 で、できた……


 光り輝く手元を凝視しながら、心の中でそんな一言を呟く。しかも、魔法を発動したときに声がでた。


 もしかしたら、喋れるようになってたりするかな⁉


「だー!」


 ……駄目だった。魔法が発動するときは声が出てたはずなのに。もしかしたら、この世界の体がそういう体なのかもしれない。そういうのも研究しないと。


 引き続き、他の魔法を発動してみよう。


 この世界の魔法には、系統属性がある。普通に魔法を発動させようとすると、無系統魔法になるけど、ある一定の魔力の周波を魔法陣に流し込むと、それは属性系統を魔法陣に含ませたと言え、多種多様な魔法も使えるようになる。


 これを極めれば、更なる向上が見込める。決めた。まずは魔法から極めていこう!


 そうとわかれば、どんどんと魔法を発動していこう。闇系統、炎系統、水系統、上級魔法にも手を出していこう。このために、無駄に長い瞑想をして、内包で魔力を増幅し続けたんだ!


火炎(ファメ)』、『水泡(クルル)』……


 この日、僕は合計で80個の魔法を発動した。


 次の日。僕は引き続き魔法を行使していた。不思議なことに、魔法は使えば使うほど、その深淵に近づくことができる気がする。そう、なにか全ての魔法に同様のものが感じ取れる。


 その疑問はすぐに解決へと至った。そう、魔法陣だ。どの魔法にも、二割の魔法陣に同様の部分があったのだ。もしかしたら、この魔法陣を研究できれば、自分でオリジナルの魔法陣が創れるのか?


 面白そうだ。すぐに実行しよう───と思ったのがバカだった。


 そもそもとして同箇所が二割あるだけで他はまったく別のものだ。他の魔法を調べればわかるのかもしれないのだが、僕は魔法のレパートリーが少なすぎる。たかが数十個で研究なんかできるわけない。


 他の書物を読んで新たな魔法を調べないと。僕が調べていた書物は、『魔術』。それは、魔法使いの熟練者が読み漁る書物だということを、その時の僕は知らなかった。


 §


 あの時から一年後。僕は3歳を迎えていた。どうやら、この世界の住人は僕が元居た世界とは寿命が全然違うみたいだ。


 僕が住んでいるアクリア大陸。ここに住む人族は、平均で400歳生きるらしく、さらに魔法で寿命が延びるらしい。しかも、この世界では赤ん坊と呼ばれるのは、なんと13歳まで。その歳まで、言葉を覚えたり、二足歩行で歩いたりと、なんとも遅い。そして、筋肉の発達も遅い。寿命が延びるのは僕としてはうれしいことなのだが、なにも遅いと進むものも進まない。


 だから、全部魔法で解決する。まず筋肉の発達。これが僕としては一番、だめだ。早く前に進めないと、常人の何千倍も先に進まないと、極められるものも極められない。


「『成長(ケルト)』」


 半年ほど前から始めたこの『成長(ケルト)』。少しずつ、毎日コツコツとやっていたお陰で、他とは追いつけない程の成長を僕はしている。そう、つまりこの世界で13歳がすることを、僕は3歳でするということだ!


 この『成長(ケルト)』のおかげで声も喋れるようになった。元から、リスニングは完璧にできてたし、この世界の全ての言語を覚えたから、あとは喋れるようになるだけだった。


「これで僕は更なる向上が見込める……!」


 僕は、赤ん坊とは思えないほどの発言をしているのであった。


 僕が扱える魔法は、もはやこの一年で数千の魔法を覚えており、同時に魔法を何個も行使できる複数魔法行使もできるようになった。


 このことを、周囲のみんなは知らない。何故なら、僕が隠しているからだ。闇系統魔法の『隠匿(ヨーネ)』を使って僕のことは隠している。ただ、お母さまは気づいてそうだけど……いや、そんなことはない。そう決して!


 さて、今日も魔法の研究だ。そう思い、僕は地下の方へと歩を進める。この間、常時『隠匿(ヨーネ)』を発動しては周りを見渡す。そしてコソコソと地下に進むと、僕ぐらいの小さな手しか入らない隙間に手を入れ、魔法を発動する。


「『解除(トクマ)』」


 その魔法を発動させるや否や、ガガガと壁から扉が出現する。そこを開けると、僕の研究所が現れる。色々な設備を秘密裏に手に入れ、研究所にいれた。


 扉を閉めると、その扉は消える。証拠も残さないようにするためだ。


 さあ、今日はようやくオリジナルの魔法を作りだす日だ。数千の魔法を覚えた僕には、サンプルが大量にあるといっていいだろう。


 そして、その類似点を全て集め、対照実験を行った。殆どの魔法には、二割、なにかを生み出すという意味の魔法陣が組み込まれている。そして、残りの六割が、そのなにかがなんなのかという意味だ。つまり、その六割を解読できれば、オリジナルの魔法ができる。なんなら、最初の二割を変えれば、また違った魔法を生み出すことができる。これが、一年をかけて研究した僕の成果だ。


 残りの二割のことだけど、それは未だによくわかっていない。属性をあらわしている魔法陣だと思うけど、例外も含まれていて、よくわからない。でも、今は分からなくてもいい。


 なにせ、その例外というのは珍しい魔法だから、基本は属性を現す魔法陣ということでいいと思う。


 さあ、どんな魔法を作ろっかなー。作るとしたら、上級魔法だ。上級魔法は、未だに数が少ない。何故、数が少ないかというと、それは他の魔法を組み合わせているからだ。


 例えば、水風系統魔法『氷風嵐(ガベラル)』は、水系統魔法『氷霰(ヘテラ)』と風系統魔法『風上(トーカ)』の魔法陣の一部が描かれている。そのように、上級魔法は、初級魔法の一部を借りて魔法陣を組まれている。


 そして、僕が一年をかけて作る今回の魔法陣。それは、炎の水。一見、矛盾を孕んでいるように見えるかもしれないが、それは違う。実際は、炎が水のような動きをするということ。そのようなことがありえていいのかという意見も聞こえてきそうだが、それが魔法。魔法最高!


 さあやるぞ!


 組むのは、炎系統魔法『炎猿(ドグラ)』と『水華(メイル)』の一部。『炎猿(ドグラ)』による高火力の炎と、『水華(メイル)』の絶えることのない水の操作。それを組み合わせる上級魔法。それこそが───


「炎水系統魔法『焔之水(ラルドラ)』!」


 刹那、研究所にある的が、一瞬として灰と化し、さらに壁をも燃やし尽くさんという勢いになった。あまりに危険と思ったので、魔力の放出を断じる。


 ここの研究所は、結構頑丈だと思ったんだけどなー。また改良しなきゃ……


 実際、ここの研究所は上級魔法程度では全く効かない。が、先程、僕が放った『焔之水(ラルドラ)』。これは、僕による魔力と、その精巧な魔法陣によって、威力は上級魔法の二段階上の、超級魔法となっていた。


 そんなことなんて、僕は、未だに知る由などなかった。そうこれが、僕の三歳の思い出。

次回からは、少し時を飛ばそうかなと思っています

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