表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕は全てを極めます!  作者: ゆるん
21/22

世界最強は変態たちを眺める。

 いつもの退屈な授業が始まる。といっても、これがこの学園で初めての授業だ。


 科目は、魔導科。やっぱり、というか、少しでも期待していた僕がおかしかったのかな? ここの分野は、僕が生まれて2カ月で習得したところで、というよりも大して意味はなかったから本で飛ばし飛ばし読んでいた感じだ。


 そんなところを2カ月も掛けてやるっていうんだから、さらに退屈な話だ。教科書で先を見る限り、習っていないところはなさそうだ。


 しかも応用も下手。もう少し難しい問題でも用意できないのかな? ほら、ここの魔導伝達術式理論の応用はこうすれば魔導連立方程術式に繋がることができ……


 気が付いたら、教科書が自分の文字で埋め尽くされていた。やべ。


 そこで、視線にも気づく。その主は、太陽すらも彷彿とさせる赤髪。テーラーだ。その目はジト目で、ドンびいてる。


「ね、ねえ……教授の話聞かない訳? ここ大事な部分だと思うけど……」


 目が合ったことで、テーラーは授業中でも話しかけてくる。うーん、静かにした方がいいと思うけど……


「別にここ習ったことあるから、聞かなくてもいいんだよな~」


 刹那、教授の耳がピクッと動く。あの耳……術式が貼られているな。盗聴系統魔術。しかも、僕限定にしているようだ。


 そのおかげで、こんな小さい声量でも聞こえているようだな。ほら、こっち向いた。


「ハージュ・ア・グレバール。ここの第六番を答えなさい」


 予想通り。しかも、よりによって六番か。この問題は、まだ習っていない分野を駆使しないと解けない問題だ。全く、ただの嫌がらせか。なんの為だ? 僕に嫉妬なんてないはずなのに。


 まったく……授業でちょっと喋っただけなのにこれか。だとしたら、他の教科も油断できないな。


「えーっと……ここの問題は魔道中点術式連結定理を使って、Bを6Aの術式まで引っ張れば自然系の術式パターンが作れます。そしてこの線を錯角を使って、ここと等しい角ということが分かるので、ここに魔導伝達術式理論を使えば───この術式は完成します。さらにここにイマリーの魔道定理をしようすればE6の9I三乗が8の五乗ということがわかるので───」


「わ、わかった、ハージュ。もう十分だ!」


「え、そうですか?」


 まあ、これくらいすれば相手も懲りるだろう。


 僕は自分の席に戻り、テーラーに目配せする。『ほら、大丈夫だろ?』


 するとテーラーは『呆れた』とでも言いそうな顔でため息を吐いた。


 その後は、何もならずに授業が再開された。でも、二つほど気になったことがある。


 一つは、あの教授のこと。あの耳の術式は、僕専用だった。何故僕だけなのだろう。授業を静粛に済ませたいのなら、全員に盗聴魔法を用意すればいいだけのこと。


 精度は一人専用のときよりも落ちるが、魔力消費はそれほどでもない。


 そして、もう一つ。それはテーラーだ。何故か……何故か、僕から視線をそらしたとき。あの時、隣の彼女は……とても悲しい顔をしていたことだ。


 §


 一人の男が月光に照らされ、廊下を歩いていた。名は、トゥーム。昼間はハージュたちの魔導科を授業していた者だ。


 そして、トゥームは、生徒禁止の壁紙が貼られた部屋に入る。そこは、壁も床も天井も真っ暗な部屋。何人かもう部屋に居る。この学校の教師たちがここに集っていた。


 部屋の真ん中には、一つの画面がある。昼に授業を受けていたハージュの映像だ。


「なぜこんな男が学園長の寵愛を……」


「あなただって見たでしょう、あの計算式を」


「あのような解き方など、今まで見たことがない。魔道中点術式連結定理を使えばあそこまで計算を省略できたのかが不思議だ」


 意見が飛び交う。だが、その大半が一つの軸となって結びつく。


 ───なぜハージュが学園長に気に入られているのか。


 最近では学園長はハージュのことしか話さない。他の雑務中もハージュが生み出す魔法に没頭している。


 つまり、彼らは嫉妬しているのだ。


「なぜあのような素晴らしきお方がただの人間如きに御興味をもたれておる!」


 ある者は両手を広げて困惑する。


「だだだだだだだだだだだだ大丈夫だ。そそそそそそそのよよよよう⤵な興味ななんななどすすすすぐに、ききききっききえええ⤴るはずだ」


 ある者は眼鏡を震わせ、声を上げる。


 そして、変態ファン達が声を荒げるその様子を、陰ながら見つめるものが一人。


(変態だ……)


 ドン引く一人の男。黒髪蒼目が夜でも引き立つその姿だが、魔法で全身が隠されている。


 ハージュだ。眉を顰め、教師達(変態たち)を眺める。


(だが……敵意がないようでよかった)


 その確認だけを済ませたハージュは扉の隙間を使い、部屋から出るのだった。


「うおおおおおおおお! とうっっっっっっとい! ガスラルノア様!」


「げ・ん・こ・う! げ・ん・こ・う!」


 後ろの方から聞こえてくる変態どもの喚き声は、聞かないようにした。


 ……もうすぐ、始まる。


 嘘と、騙しの───学園祭が。

投稿が遅い? ちょっと違うやつにハマっただけなんだ! ゆるしてくれ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ