世界最強と一緒にジム体験
奴隷、その言葉に、場が凍り付いた。
ミーネはまるで汚物をみるような視線を僕に送っている。
「まあ、奴隷と言っても働くのはしばらく後になりそうだけど───『首輪従属』」
僕がその魔法を発動すると、六人に首輪が飾られる。
「座れ」
その言葉を発すると、六人が僕の目の前で跪いた。この魔法を人間相手に初めて使ったけど、実験通りに動物と同じ動きをした。
「ひ、非人道⁉」
今更ながら自分に首輪が嵌められていることに気づいた女性が叫ぶ。未だに置かれている状況を分かっていないようだな。
僕は座る挙動をすると、そこに椅子が出現する。これも魔法だ。
さて……
真っ白な空間に異質な建物が立ち並ぶ。
「お前らはここで鍛えてもらう。ざっと……10年くらい?」
「「「……え?」」」
「百聞は一見に如かず。まずは建物の中に行こうか」
未だ頭真っ白な六人を強制的に建物の中に連れていく。歩くときも建物はどんどんと追加されていくので六人は興味津々の目であたりを見ていた。
まあ、この時代ではありえない建物だし、前世のものをイメージしてるからな。六人がそうなるのも無理はない。
そして、この空間一番の建物の中に入る。そこは、ジムだった。そう、あのトレーニングするところ。
僕も前世でお世話になっていたからここは充実に再現できる。
エレベーターで一階に行く。六人はなにからなにまで興味津々だ。だって見たことないものばっかりだから。
このハージュ・ジム(仮名)一階は、魔力増強トレーニングがある。
魔力を増やす方法は、主に二つだ。
一つは幼少期に魔法を使いまくること。極微小だが、魔法を使えば使うほど増える。この世界の幼少期は0~12歳。僕はまだ幼少期だからこの方法を使い、魔力を増やした。
二つ目は、今から行うもの。
「うおおおおおっ……! 魔力が吸われる……!」
魔力枯渇からの回復だ。魔力枯渇は、字の通り。魔力の底が尽きること。そして、そこから回復すると元の魔力量よりも増えてくる。
僕はこの二つの魔力増強方法をすることによって今の魔力量にした。この中の六人は幼少期とは思えないから二つ目の方法を採用している。
両手を機械に嵌めると、そこから機械が魔力回廊に接続する。魔力を作るにはマナが必要なため、そのマナが無くなると必然的に魔力もなくなる。
そして吸うマナが無くなると、それを感知した機械が魔力回復魔法を対象者にかける。
この前、魔力中毒魔法をレニーとミールイが発明してくれた。その応用技術として魔力回復魔法を生み出した。
流石あの二人だ。また褒めないと。
みんなここで魔力が吸われている感覚を楽しんでいるようだけど、魔力枯渇はかなりしんどい。
嘔吐、腹痛、頭痛、眩暈……などの効果が表れる。まあ、死にはしないけど。
ほら、倒れ始めている人もいる。けど、そこからの回復は快楽が凄いんだよなー。ほら、ミーネなんて魔力回復してきて天使のような顔だ。
全員回復してから二階へと行く。二階は魔法制御技術トレーニング。ここは仮想空間で魔力を消費せずにイメージで魔法を操る。ホログラムも仮想だっていうのに仮想空間の仮想空間ってバカげてるのかしら。
でも、この仮想空間は魔法陣を紡ぐスピードが普通よりも遅い。ここで魔法陣を紡ぐスピードを早くしようというトレーニングだ。
仮想空間は決闘システムもある。決闘する相手はそれこそ自由だ。仮想で作り出した人物でもいいし、この六人の中の誰かでもいい。
「じゃあ、試しに僕と殺りあう人ー?」
手を挙げたのはグーライだけだった。他は恐怖の顔でこちらを見ていた。何故だろう?
※ちなみにグーライはボコされました。
「いや……一発KOはダメでしょ……」
「そうか? でも、あの魔法は僕のとっておきだからね」
三階へ向かう。
三階は魔法製作トレーニングだ。ここは頭を使う。
クイズ形式にして魔法陣のパターンを覚えてもらおうという感じだ。
つまり脳筋はここでつぶれる。
ほら、グーライが頭を悩ませている。先程の決闘を見る限り、グーライは生粋の戦闘狂で頭を丸っきり使わない。戦闘センスだけで戦っている感じだ。
そしてもう一人……頭を押さえている。
ホログラム空間に六人全員入れてから、六人の情報は分かっている。このスタイル抜群のお姉さんはアームイだ。どうやらこの人は育った環境が劣悪だったためにまともな教育が施されてこなかったみたいだ。まあ、10年もある。その内、箔も付くだろう。
そろそろ、みなさんもお気づきだろう。
このジムは、魔法トレーニングジムだ。
まず第一にジムを作るとしたら魔法にしようと思ってたんだよなー。
それを分かった上でいざ、四階へ。
四階は魔力放出トレーニング。
魔力を外に放出する技術で、魔法を展開するときの初歩技術となるが……魔法を展開せずに魔力を放出するとなると難易度は高まる。
一階のときの魔力を吸い取られるときの感覚、それは魔力を放出する感覚と似ている。
最初は微細だが、だんだんと魔力の放出量を増やしていく。そうすれば、爆発的に魔力を放出する技術───魔力弾を撃てるようになる。
それまでトレーニングだな。まっ、殆ど前座で瞑想しているだけだけどね。おっ、盗賊のリーダーさんが放出できるようになった。がんばえー^^
五階。ここは最後のトレーニング場所。魔力操作トレーニングだ。
ここでは真正面に巨大な画面がありそこには映像がある。肉体に魔力回廊だけが浮き出ている図がある。さらに、そこにはマナが流れていた。
その映像を真似して六人は魔力を操作しようとしている。過半数はもうできているな。リーダーさんはもうかなり完成しているみたいだ。
「さて、こんな感じかな」
「十分すごいよ……こんな空間、神話の御伽噺しか聞かないことだよ」
ジムをでて、都市を歩く。さっきまで真っ白な空間だったことが嘘みたいだ。
「ほら、あそこは剣術ジムだし、向こうは普通の筋肉鍛えるためのジム」
「ジムばっかりだ」
「まあ鍛えるための空間だし」
六人に集まってもらい、僕は話す。
「ここの十年間は、現実世界の一年間だ。その時、僕は10歳になると思う。僕の期待に応えられるような成果を見せてくれ」
「ウチらに拒否権ってあるの?」
質疑応答の時間をとってないのに質問をしてきた彼女に応える。
「もちろん、ない」
「ないのかい!」
「……? なにか不満でも? 君らが拒否ろうもんなら、それ相応の姿勢っていうものをこちらは見せないといけないからね」
その言葉に、六人は肝が冷えたような恐怖の顔をした。
はて、何故だろう?
ハージュの異常な成長速度は幼少期にばかげた修行をしたためです。




