次、どうする?
四月八日 今日は新しい人と出会った。 今年も楽しくなりそうだ。
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「とりあえず、今わかっていることを整理しよう」
ファミレスの端の席でご飯を食べながら、僕は話を切り出す。
今日は入学式なので学校は昼までだったのだ。僕の過去について調べようという話になった後、昼食を食べに帰るのも面倒だということで、ファミレスで昼食を食べながら話をすることになった。
「僕の記憶があるのは病院からだ。いつから入院していたかはわからないが、二月末に退院できた」
「記憶喪失につながるなにかがあって入院したんだろうね」
晴柀は注文したハンバーグを食べながら話している
「その何かは僕の知らないほうがいいことらしい」
「誰も何も話してくれないんだよね?」
「うん」
「私の勘違いかもしれないけど、かなり性格も変わってる気がする」
「普通有り得ないはずなんだけど……」
今の段階では見当もつかないといったところだ。
「まあ調べればだんだんわかってくると思うよ」
お手上げだというように手を挙げる仕草をすると、晴柀は苦笑いしながら答える。
「そういえば、晴柀と僕ってどんな関係だったんだ?」
完全に忘れていたがこれが今一番知るべきことだろう。
「うーん……友達……かな?」
おっと。若干言葉を濁すような言い方だったな。ふと晴柀のほうを見ると、一瞬目が合った後、晴柀のほうから目をそらした。
「それって、小学生の頃か?」
「うん」
「なるほど……」
晴柀は急に声のトーンが上がり、勢いよく返事をした。明らかに怪しいが、とりあえず気にしないことにする。まあ小学生の頃なら記憶喪失の件には関係ないだろうしな、話を変えよう。
「で、何から調べる?」
「病院に行ったらいつから入院したとか、なんで入院したとかわかるんじゃないかな?」
「なるほど…………確か僕が入院したのは町の総合病院だった」
「近いね。行く?」
「もちろん」
「よし!」
僕にしては勢いよく肯定すると、晴柀はさらに勢いよく立ち上がって、足早に外に出て行った。
外は雲一つない晴天で、心地のいい暖かさだった。