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くだらない私の日常 新人なろう作家の日常妄想系エッセイ

自分の常識を疑え ~ブラックスワン~


 ごきげんよう。ひだまりのねこです。


 

 皆さま最近会話してますか? 


 私はしていません。基本電話もしませんし、職場でも最低限の言葉以外発しません。


 感染症対策で外食も外出もしないので、そもそも会話する機会が無い。


 

 書いていて少し悲しくなりましたが、実はこの上なく快適だったりします。


 

 私、会話自体は嫌いではないのですが、会話が噛みあわないので苦手というか疲れるのです。


 普段も会話の間も、脳内で勝手に自分同士で会話しているので、相手からすると、いきなり話が飛んだな!? ってなるらしい。



 さて今回は、自分の常識を疑えというお話。


 大学時代のある友人との何気ない日常会話をご覧ください。


 



 友人「ねえ、ねこ、あれって何ていう鳥? っていうか鳥だよね?」



 私の脳内、


 ……嘘だろ? 嘘だと言ってくれ!! カラスを知らない人間が存在するのか? いやまて落ちつこう。それはさすがにない……ことはないのか? 私の常識はいつもおかしいから、もしかしたら、カラスは私が思っているほどメジャーな鳥じゃないのかも? っていうかどう見ても鳥だろ!! そこから? そこからなの? 種類はともかく、鳥類という大きなくくりぐらいは認識してくれ!! いや、そういえば、こいつが生き物の名前を言っているところを聞いたことが無かった。犬を見て大きいモフモフって言ってたし、ネコを見て丸い毛玉って言ってたな。虫に至っては認識すらしていなかったような……まさか……天然? そういえばうちの母も似たようなところがあったな。一緒に居て心地が良いのはそのせいか? だが私の思い込みかもしれないし、聞き間違いという可能性もあるが、聞き返して聞いてなかったのと思われるのも嫌だ。まさか引っかけ問題? いや、あそこにはカラスしかいないはず、それともこの世ならざるものが見える体質? それとも試されているのか? 一体何を? わからない……答えが知りたい。教えてくれ友よ!! くっ……仕方ない、悔しいが確認しよう。 (ここまで一秒未満)


 待て待て待て、考えろ、正解かどうかなんて問題じゃない。私がどう答えたいか、考えるんだ。鳥の名前か……たしかにカラスの種類を見分けられる人は経験上思ったより少なかった。だが、こいつがそんな答えを求めているとは到底思えない。ここで私が、あれはハシブトガラスだよ、鳴き方はうんぬん……と説明したところで、私が満足するだけに終わるのは目に見えている。まさか……私に気を遣ってくれているのか? なるほど、そう考えれば、一見意味不明な質問や行動にも一定の説明がつく。ならば私も応えねばなるまい。(ここまで一秒未満)



「……愛だ」

 

「え?」


「名前なんてただの記号に過ぎない、大切なのは思いやる心、すべての生きとし生けるものへの愛」 


「そ、そっか、ごめんね、さすがのねこでもわからないことだってあるよね……」



 うわああああああ!!!! ち、違う、わからないことを誤魔化したんじゃない、なんでそういうところだけ無駄に理解が深いんだよ!?


 私を舐めるな!! 良いだろう、カラスについてその身体に叩きこんでやる。


「……あれはハシブトガラスだ」


「……???」


 ……こいつには難しかったか。


「カラスだ、カ・ラ・ス、聞いたことぐらいあるだろう?」


「あ~知ってる!! 黒鳥っていうんでしょ?」


 ……違う、カラスだと言っているだろう。っていうか、お前の口から黒鳥って単語が出てきたことにビックリだよ!!


「いや、黒鳥は……ほら、黒い白鳥だよ」


「白鳥って何?」


 ……カラスを知らない人間が白鳥を知っている訳が無いのか? こいつは一体どうやって生きてきたんだろう。英語ならワンチャンあるか? こいつ英文科だし。


「……スワンだスワン」


「なんだ、スワンなら知ってるよ。え~!! 全然違うじゃん!! 全然スワンに似てないよ?」


 ……だからあれはカラスだと何度言えば……いや、何度と言うほど言っていないけれども。

 駄目だ……ツッコミどころが多すぎて訳がわからなくなってきた。



「……何の話してたんだっけ?」


 それは私の方が聞きたいんだが?


「あの鳥の名前がカラスで、黒鳥はブラックスワンで違う鳥だという話だよ」

 

「ああ~!! ブラックスワン!! あの映画観た? 私、あの映画嫌いでね……」



 ……その後映画の話に移行して二度と鳥の話に戻ることはなかった。

 


 かつて欧州には、無駄な努力を表す言葉として、「黒い白鳥(ブラックスワン)を探すようなものだ」ということわざがあったという。


 この友人にカラスを理解させることは、まさに「黒い白鳥(ブラックスワン)を探すようなもの」だったのだろう。


 

 この世に黒い白鳥などいない、それほどあり得ないこととしてのたとえだったわけだが、1697年にオーストラリアで実際に黒鳥が発見されたことで、


「常識を疑うこと」、「物事を一変させること」、「自分を絶対視しないこと」の象徴へと変化した。


 

 私は自分が非常識な人間だと思っている。


 この友人一人とっても、私の常識など何一つ通じない。


 自分は正しい、自分だけは大丈夫、人間というのはどうしても正常性バイアスがかかる。


 「ありえない、起こるわけがないと思っていたことが急に起こると、予測できないほどの衝撃を与える」というのが、いわゆるブラックスワン理論。


 世界中で起きているコロナ禍などはその好例だといえるだろう。



 周りが間違っている、社会が国がおかしい。


 そう思う前に、一度自分の凝り固まった常識を疑ってみた方が良いかもしれない。


 なぜなら、この世界は想像も出来ないほど変化と意外性に満ちているのだから。


 

 ちなみに、ニュージーランドのコクチョウ(黒鳥)は先住民の狩猟によって絶滅した。


 今残っているのは、オーストラリアの固有種のみ。


 白人たちが白鳥に格別な良いイメージを持っていなければ、コクチョウも絶滅していたかもしれないと考えると皮肉な話だと思わざるを得ない。  

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i566029
(作/秋の桜子さま)
― 新着の感想 ―
[一言] いやその……。一方的に言うのはだめかもですが。 あえて、独断で、と主張して。 「友人さん、その……独特な人ですね?」 としか。 でも、エッセイは、読んでいて面白かったです!
[気になる点] ことわざ。 記憶違いでなければ、白いカラスを探すようなもの。だったと思います。 私の記憶違いか、ツッコミ待ちか、気になります。
[良い点] 「知略企画」から拝読させていただきました。 噛み合わないというか、相手方が何を言いたいか分からないまま、話が脱線していく。 ありますあります。 お友達は英文科でしたら「crow」と言えば、…
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