第90話
お待たせしました('ω')
今回は大和田視点で軽いジャブを。
短すぎるので、今日中にもう一話上げます。
※大和田視点です
──『勇者』であるオレ……大和田健吾はその信じられない光景に動揺を隠せないでいた。
自分の周囲にいるのは教団でも腕利きの実働部隊だ。
『神聖変異』とまではいかないが、『護法導師』守口沙織──元の世界では生徒会副会長だった女だ──の加護スキル“洗礼”で強化されている。
それがアイツに一瞬で蹴散らされた。『神聖変異』など受けてなどいないはずなのに。
「なッ! 勇者殿、お下がりください」
この世界に来てから世話になっている宣教騎士ゴドーが大盾を構えて咄嗟に自分の前に出る。
元冒険者でそこそこ腕が立ち、自分の立ち位置というものをわきまえたこの男を、オレは信頼していた。
不安だったオレに様々な知識を教え、この塔への任務にも同行してくれた、信頼に値する『頼れる大人』だ。
「勇者様をお守りしろ!」
ゴドーの掛け声で大盾を持った宣教騎士三人が、さらにゴドーの前にでてアイツにプレッシャーを与える。
……ハズだった。
足元からゆらりと立ち上った黒い炎が騎士達を飲み込み、瞬く間に焼き尽くした。
黒焦げになり、崩れ落ちる宣教騎士三人の姿を見て戦慄する。
魔法の詠唱は聞こえなかった。
まさかアイツにも加護スキルがあるのか?
いや、ありえない!
アイツはあの『白い部屋』にいなかった。
神への謁見なしに異世界人が加護スキルを得ることなどないはずだ。
「ゴドー! 下がれ!俺が相手をする」
「おぉ、勇者殿……」
確かに、アイツはこの世界で強くなったようだ。
いいや、向こうにいた時から得体のしれない強さはあった。
この世界で生きて、この短時間で『塔』にまで登ってきたのだ。
どういうワケかは知らないが、あいつもそれなりに力をつけたか得たということだろう。
しかし、問題はない。
極めて強力なレリック級魔法道具『神聖剣ヴァインスレイト』を与えられた自分であれば、容易に勝てる。
オレの加護スキルは強力な身体強化と『神聖剣技』の数々だ。
いくら少しばかり力をつけたとはいえ、『神聖変異』を受けていないアイツなどすぐに叩きのめしてやる。
今のオレにはそれをするだけの力と、権限がある!
そして、泣いて許しを請うまで拷問した後、あの女エルフを目の前でめちゃくちゃに犯して殺してやる。
これは正しいことだ。
神に愛されたオレと神に愛されなかったアイツでは、オレの方が圧倒的に正しい!
そう考えると、自然と余裕が出てきた。
いくら人間離れした力を持っていようとも、所詮は門真だ。
オレに勝てるわけがない。
そう、『神聖剣ヴァインスレイト』と『神聖剣技』の前に、あらゆる『悪』は切り伏せられる運命にあるのだ!
勇者大和田の戦いぶりはいかに('ω')
期待が高まりますね