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第86話

今日も更新頑張るぞい('ω')

 翌朝、準備を終えた僕たちは、町の北端にある塔の上り階段へ向かった。


 昨日の情報共有を行った結果、ザイゲンとケイブ、そしてゴモンにもやはり同様の警告が『白の教団』からあった様だ。

 当たり前だが、その全てが実力行使によるもので……その全てを返り討ちにしていた。


 あの程度の練度で、この人たちどうこうしようって方がどうかしてる。

 塔に来るのに過不足なくとも、『ザ・サード』を相手にするにはあまりにも力不足だ。

 ケイブなどは「ワシはバカにされておるのかもしれん」などと言っており、その顔には嫌悪感がありありと浮かんでいた。


 どうやら、自分の実力が軽く見られたことに腹を立てているらしい。


 向かった先──階段の前には、やはり予想通りに武装した三十人余りの『白の教団』が待ち構えていた。


「ギルドの依頼で調査に向かいます。そこを通していただけませんか」


 パーティを代表して僕が先頭のリーダーらしき男に声をかける。

 男は人族で、教団の正装なのか僧衣のようなものを着込んでいる。

 武装した集団も全てが人族で構成されており、性別はほとんどが男性。


「そういう訳にはいきません。サー・イボロの命令です。何人たりともここを通すな、と仰せつかっています」


 男は丁寧な口調ながら、敵対心を隠さない様子で僕たちをにらみつけていた。

 返答がどうあれ、僕たちの邪魔をするつもりなのは明白なようだ。

 

「それはギルドからの正式な依頼ではなく、あなた方『白の教団』の独断ということですか?」

「白き神の意思はあのような世俗の団体よりも優先されます。このまま大人しくしていてくれれば、一ヶ月後には我々が正しかったと知れるでしょう」

「なるほど」


 僕はそのまま歩を進める。

 ルリエーンや『ザ・サード』の面々も同様だ。


 彼らを徹底的に無視することにしよう。

 邪魔するなら排除しよう。

 

 それが朝のミーティングで話し合った結果だ。

 そして、この問答は僕の最後通告でもあった。


「あと一度しか言いませんよ。『どいてください』」


 僕はやや怒気をはらんだ目で狂信者達をにらみつける。

 実際、怒っているのだ。


 この集団は積極的に自分の旅の邪魔をする者達だと認識している。

 昨日にしても、教団の総意で自分達を殺すことにした、と受け取っている。


 僕という人間は、人の悪意を知っている。

 そういうものに晒されて生きてきた。それらが慈悲などないエゴで出来た救いがたいものだと知っているし、抗わなければ一方的に踏みつぶされるということも理解している。


 なればこそ……僕は自分の敵に回ったものに一切の興味も慈悲も持たない。

 それは自分を守るための最低限の意思と、プライドを保つための矜持だ。

 過ぎた力を持った今でも、それは変わらない。


「通すわけにはいかないといったは……ッ」


 男は最後まで言葉を口にすることが出来なった。

 僕が軽く拳を腹に撃ち込んだためだ。


 男は吹き飛び、集団の只中に転がった。

 おそらく内臓のいくつかが傷ついてしまったのだろう、男は酷い顔色で血を吐きながらのた打ち回っている。


「そちらが警告してくださったように、僕らも警告はしました。今後、僕の目にその白い証が見えれば例え襲ってこなくとも積極的に排除します。いいですか? よく聞いて、よく理解してください」


 転げまわる男を一瞥して、集団を見据える。


「あなた方は今、この瞬間から僕の敵です。僕と戦うというなら……それこそドラゴンと戦う覚悟で来てください」

「貴様!」


 この言葉が、彼等に対してひどい挑発になることを理解して、使った。

 多くの者がひるんだ顔をしたり、後退ったりしたが、無謀な男の一人が剣を抜き放つ。


 その瞬間、轟音が響き……剣を握りしめた男の右腕は、体から切り離されて宙を舞った。

 柄を掴んだままの腕が血しぶきを上げながら後方へ転がり、カランと乾いた金属音を響かせる。

 【バラの貴婦人(ローゼスレディ)】を構えたルリエーンが冷めた目つきで痛みにのたうつ男を見下ろす。


「ユウの邪魔をするなら全員死ぬわ。もしかしてそれっぽっちの人数でユウと私と『ザ・サード』を止められると思っているのかしら?」


 ルリエーンの言葉に狂信者達は()()したに違いない。

 僕等を止めることは、文字通り自殺行為なのだということを。


 信者の一人が短い悲鳴を上げて逃げさった。

 こうなると恐怖と恐慌は伝搬し、歯止めは利かなくなり、クモの子を散らすように信者たちは散り散りに逃げてゆく。実に賢明な判断だと思う。

 後には、うめき声を上げる負傷者二人が取り残されるのみとなった。


「んで、ユウ。こいつらどうすんのよ?」


 ルーピンがニヤニヤと笑いながら指差す。


「えっ、殺しますよ。ばらばらにしてすりつぶしてサー・イボロとやらの前にぶちまけてやりましょう。魂はもったいないので瓶につめて魔法の触媒として使いますよ」


 実際、トドメをさす気はなかったが、心の奥底に楔を打ち込んでおく必要がある、と僕はいささか意地悪な発言をした。


 僕が真顔で答えたのをみた男達は、情けない悲鳴を上げて立ち上がろうとした。

 内蔵の損傷があるためか立ち上がったとたん、血の塊を吐いて再び倒れる。

 ……おそらく、これではもう助からないだろう。


 片腕になった男は腰を抜かしたらしく、健在なはずの足を動かすこともできず、ただ床に汚水の水溜りを作ることになった。


「では、失礼して」


 僕が一歩踏み出し近寄ると、短く痙攣して失神してしまった。

 出血量からして、この男も長くは保つまい。


「では、行きましょうか」

「あぁ、そうしよう。こんな奴らに関わってもロクなことはねぇしな」


 手をださず静観していたザイゲンが、僕の肩を叩いて先行する。

 この先にも『白の教団』が潜んでいるかもしれないし、この先は『塔』だ。

 先行警戒は彼とルーピンの仕事であるため、階段を先に上ったのであろう。


 二人が消えた先を、僕はじっと見据えた。

ちょっと調子が悪い系魚類です……('ω';)

明日の更新がなかったら察してください……


あ、☆は絶賛受付中です……

よろ、しく……

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― 新着の感想 ―
[気になる点] あとがきで分かった 作者これウナギって読むのね!← [一言] 今日も更新お疲れ様です
[一言] ノロ? コロナでノロの話題が出ないが奴らはしっかり生息しているからねぇ〜
[良い点] 非情系主人公もいい! [一言] 更新おつです!
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