第85話
はい、警告を受けそうな部分をバリバリカットしておきました('ω')b
これで大丈夫……だよね?
お互いに少し笑いながら、服を脱がせあう。
なんとなく悪戯ではじめたものが、いつしかお互い習慣になってしまった。
見る人が見れば、バカップルの悪習だと眉をひそめるかもしれない。
「さ、入りましょ」
一糸纏わぬルリエーンの裸体はいつ見ても美しい。
年のころは自分よりもずっと幼く見えるのに、その肢体は滑らかで美しく、どこか神々しいとさえ思ってしまう。
白磁のように白く、それでいて柔らかで温かい特別な素材で構成された僕の女神。
「ルーさんは今日も美しい……」
ため息と共につい、うっかり本音があふれ出す。
それを聞いたルリエーンは毎回のことながら長い耳の先まで真っ赤にしてうつむいてしまうのだが。
「もう、ユウは毎回それね」
「本当のことですしね」
ルリエーンを後ろから抱きかかえる形で湯船に収まった僕は、大きく息を吐きだして全身が弛緩させる。
リラックスして、伝えるべきことを余すことなく、ルリエーンに伝える。
それが今日の僕の使命だ。
「それで、ユウ? 何を悩んでるのかしら?」
「……!」
何故ばれた。どこでばれた。
「顔に出やすいのよ、ユウは。ほら、お姉さんに話してみなさい?」
顎を頭でつつかれて、僕は意を決する。
「ルーさん。最初に僕の事情を話したときのこと、覚えてますか?」
「覚えてるわよ。魔大陸から来たことや、『渡り歩く者』だってこととか。あと色々」
「その中で、今まであえて話さなかったことを、今からルーさんに話そうと思います」
「急にどうしたの?」
小さく振り返ったルリエーンの声に、やや警戒した響きがこもる。
「ある意味、ずっとタイミングをはかってはいたんですけどね。今日ちょっと思うところがあって、早いうちに伝えてしまおうと思って」
「ユウ、大丈夫よ」
僕の手をルリエーンがそっと包む。
「何があっても、私はあなたの味方でいるって決めた。その覚悟があって一緒にいるって決めたのよ」
ルリエーンが体を僕に預けてくる。
大丈夫だ。大丈夫なはずだ。このエルフは絶対に僕を受け止めてくれる。
何もかもを。
だから──決意を持って口を開く。
「僕の魔法の師匠は色鱗竜です。そして僕のこの力は、『神聖変異』ではなく、特別な方法で半竜半人となって得た力です」
「じゃあ、ユウがいつも話してるアナハイムって人、竜族なのね?」
「僕の師匠、黒竜王アナハイムは色鱗竜の中でもかなり高位にある一族だと聞いています。その人の好意で僕は命を救われ、この世界で生きていく術を得ました。僕が五大魔法を使えるのも、自傷魔術を使えるのも、そのおかげです」
「へぇ……竜族にも善人? 善竜? っているのね。怖いだけかと思ってたわ」
ルリエーンの反応は意外とあっさりしたものだった。
「話ってそれ? もっと深刻な話かと思って警戒したじゃない。ドキドキしちゃった」
かなり深刻な話だと思っていたが、ルリエーン的には『わりとどうでもいい』範疇の話だったようだ。
「あと、元の世界に幼馴染を帰せる算段がついたら、黒竜王の元に戻ります」
「私にはそっちの方が重要ね。私、魔大陸で生きていけるかしら」
どうやら、麗しの女神はついてくるつもりらしい。
黒竜王は許してくれるだろうか。
「そのアナハイムさんとも話をしないといけないね。その人、女性でしょ?」
「あ、はい」
隠してるつもりは無かったが、あえて触れなかった部分もルリエーンにはお見通しのようだ。
「ライバルは多いなぁ。同郷同族の幼馴染に、命の恩人で師匠の竜族? 考えたら絶望的なラインナップだけど……今、ユウのとなりに今いるのは私だもの。今のうちにユウの気持ちをしっかり掴んでおかないとね!」
悪戯っぽい笑みを浮かべながらルリエーンは足をばたつかせる。
ルリエーンは、自分が思っている以上に強かで……愛情深い。
(かなわないな……)
すっかり打ちのめされてしまった気分だ。
「あ、『白の教団』に嗅ぎつけられると面倒かもしれないね。あの人たち、竜族をとことんまで憎んでるから。ユウが竜人だってわかると手段を選ばないかもしれない」
「そうですね。竜魔法は使わないようにしないと」
「えっ」
「え?」
「使えるの? 竜魔法」
「ええ、ごく基礎的なものだけですけど。……というか昨日、剣を受けとめたのもその一種ですよ?」
「他には?」
「<竜息>や<竜牙兵作成>を少々」
「今度やってみせてよ!」
「ルーさんがそういうなら。誰も見ていないところで」
無邪気に「やったわ。伝説の魔法が見られるなんて楽しみね」と喜ぶルリエーンを見て、色々な不安が杞憂であったことを僕は確認した。
いや、ルリエーンの愛情を思い知ったというべきか。
「さ、ルーさん。そろそろ上がりましょうか」
「今日はお風呂でしないの?」
「……ベッドに行きましょう。あの狂信者さんがたの襲撃があっても面倒なので、このまま【安息の我が家】にいるというのはどうですか?」
「賛成よ、ユウ」
湯船から立ち上がりざま、ルリエーンを抱えあげる。
不安がなくなったところで、今度はこの女神のようなエルフをベッドで愛でよう。
女神もまた、それを望んでいる。
明日、ルーピンたちにも話そう。
自分のことを。
そして、保護者面したルーピンを安心させてやるのだ。
ルリエーンはもう大丈夫だと。
このあとめちゃくちゃ……(カットされました)
悲しいですけど、運営さんに怒られてしまうので……('ω')